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第9章 年中行事

第2節 春から夏の行事

1 一月の行事

天 神 講
二月二十五日は、天神様の祭礼の日である。石戸宿や北本宿の天神様で祭礼が行われ、大祓のお札が氏子に配られる。石戸宿ではササラ獅子舞いも行われた。
石戸宿の天神様の春祈禱は、戦前までたいへん盛んだった。吉見や川島、川田谷方面からもお参りに来て、境内いっばいに露店が出て賑わった。この日半紙を二、三枚つなげたものに『奉納天満天神宮』と書いた書き初めを社に奉納すると、木版印刷の絵馬と、菅原道真のオスガタのお札をくれた。小学生ぐらいの子供たちは、二十四日地区ごとに集まって各家々を回り、米や野菜、お金を集めて、宿の家に泊まって習字を書いたりしながら一日楽しく過ごした。宿は男女別々に設けた。二十五日の早朝、書いた習字を天神様に納めにいく。この日は、一月七日に神社に納めた注連縄をお焚きあげして暖をとった。
北本市域でも加納の天神様(桶川市)に近い所では、二十五日早朝子供たちが加納の天神様にノボリ(幟)を納めにいった。二十四日の晩、コウチ(耕地)の家を宿にして泊りこんで準備した。「奉納関白太政大臣菅原道真公御宝前」などと書いたノボリを、天神様の井戸に奉納すると字がうまくなるといった。
昭和初期には、この日靑年たちが東松山の稲荷様にお参りすることも行われた。

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