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第9章 年中行事

第2節 春から夏の行事

2 二月の行事

ヨウカゼック

写真22 鬼よけのミケー

二月八日と十二月八日をヨウカゼック(八日節供)という。この日は鬼が婿に来るので、履物を外に置いてはいけないといった。鬼に判を押されると、病気になるというのである。鬼よけにミケー(目籠)を、物干し竿の先にさかさにかぶせて軒先に掲げる。ミケーには、ヒイラギの枝を刺しておく。目が痛くて鬼が逃げるからと、トボグチでネギ(葱)を燃やした。行われたのは戦前ぐらいまでで、早くに消滅した行事である。二月八日は、ハリクヨウ(針供養)の日でもある。昔はこの日、女たちは裁縫を休んだ。この日は暇があっても、針仕事をしてはいけないことになっている。和裁を習いにいっているオハリッコ(お針子)たちは、お師匠さんのところに集まって針供養をした。
二月八日に何か鬼のような魔物が来る。それを避けるために目籠を立てたり、臭いものを焼く。目籠を立てるのは、目がたくさんあるので、驚いて逃げるのだという。対象もはっきりせず、内容にも真実味が乏しいため、はやくに消滅してしまった行事であるが、先に述べたとおり、同様の行事が節分に行われているところもある。針供養も、要はこの日は仕事を控えて神祭りに専念する日ということである。大きな年中行事は一日と十五日に集中している。物忌み的性格の強いコトヨウカは、その間の七・八日、月齢的には半月の時期の行事の持つ意味を考えさせる民俗である。

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