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第9章 年中行事

第2節 春から夏の行事

6 六、七月の行事

オタキアゲ
オタキアゲ(お焚き上げ)といって七月一日の朝、各家のケイド(宅地の入口の道路)で小麦の殻(藁)やバカヌカを燃やして当たった。悪病が入らないようにするのだという。無事に夏を過ごせるようにする。煙をあびると体によいともいう。惡病除けに茎の赤い雑草を取って、軒下に吊るした家もあった。
オタキアゲの由来として、次のような話が残っている。
昔、比企の岩殿山(旧高坂村、現東松山市岩殿の正方寺)のふもとの弁財天の池にオロチ(大蛇)がいて、各地を荒らし回って、人々が困っていた。これを聞きつけた俵藤太秀郷という武士がオロチ退治をしてくれることになったが、真夏にもかかわらず、その日大雪が降って寒かったので、人々が小麦藁を燃やして当たらせて体を温めながら弁天池に到着して、無事オロチを退治することができた。その日が旧暦六月一日だったので、今でも七月一日にオタキアゲをするのだというのである。仏様がこの日煙草を吸いにくるので、畑の入口で麦藁を燃すのだというような伝承もある。

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