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第9章 年中行事

第3節 盆

2 盆行事

ムエンボトケ(無縁仏)
ムエンボトケとかガキ(餓鬼)と呼ばれる仏様がある。ムエンボトケというのはまつる人のない死者とか、幼くして死んだ子供だという。また、未婚で死亡した人の霊もムエンボトケになるともいう。いずれも、祭る子孫のない死者の霊である。無縁様は、盆棚の上に上がれないといって、盆棚の下にマコモのゴザや里芋の葉をしいて、水やボタモチ、御飯、カボチャなど上の仏様と同じ御馳走を、すこし簡略にして供える。
石戸宿では、盆棚の下の段は竹の葉で隠し、真ん中を少しだけ開けてホオズキや色紙を上げてある。ショウリョウサマ(精霊様)が下の段にいるといわれ、子供の霊で盆棚の上にあがれないのだと言われる。上は御先祖様、下は無縁仏を祭るという家もある。それで、盆棚に膳を上げる時、上に二膳、下に一膳上げることになっている。棚の両脇には、金花・銀花を対にして飾る。
下石戸上では、盆棚の後ろと両脇の三方は外した障子で囲い、前方だけはカヤ(茅)できれいに飾る。カヤを葺く時隅の方を少し開けておくが、ここには子供の霊が入るといい、簡単に供え物をする。下の段に祭るのは無縁仏だといい、家ごとに祭る無縁仏の範囲が決まっていて、道端の無縁仏を連れてきて先祖と一緒に供養するのだという人もある。八月十三日の夕方墓に先祖を迎えにいって提灯に灯をつけてくるが、盆棚の上の段に提灯の灯を移して御先祖様を迎えたあと、無縁仏迎えは出直してする。
常光別所では、盆棚は四尺六尺の縁台の上に戸板を乗せござを敷いて作り、縄を張ってホオズキや色紙を下げるが、下の段は力ヤ、マコモ、ジュズタマ(数珠玉)で被い、正面を三角形に分けて開ける。下の段にはショウリョウサマを祭るといい、ここにも供物を供える。

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