北本の絵馬

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北本の絵馬
市内には多くの絵馬がある。このことは絵馬奉納の習俗が一般的にみられていたことを示すものである。
絵馬の起源については、「生馬の殉葬」、「神馬献上」「馬形献上」など、いろいろ論じられているが、神馬を献上できない者が、その代りに馬を描いた簡単な板絵を奉納したのがその始まりではないか、との説が有力である。しかし、いずれにせよ後世になると、馬の絵馬のほかに、いろいろな絵馬が登場してきた。
〇動植物類の絵馬……市内には、馬・牛・猿・狐・鳩・蛇など
〇人物絵馬……市内には拝み絵馬が多い。子供の誕生・成育・武運長久を祈願したもの、「め」の字を書いて眼病平愈を祈願したものなど。
〇信仰する神仏の像の絵馬……市内では天神様菅原道真の絵馬が3、4枚残されている。
〇歴史上の人物の絵馬……市内にはこの種のものが10枚ほどある。いずれも「大絵馬」に属し熊谷直実と敦盛、源頼朝と義経、宇治川大合戦、富士の巻狩、加藤清正など民衆に人気のある人物や事象を絵馬にして、氏子連一同で奉納したものである。
これらの絵馬の多くは、専門の絵馬師の手になっているが、中には自筆の絵馬も見られる。絵馬奉納は江戸時代は全盛であったが、市内で今に残るものは少ない。明治・大正にも盛んに奉納されたが、太平洋戦争後は急激に衰えた。しかし、今でもごくわずか一部の人にこの風習は残されているようである。


昭和49年3月
北本市文化財保護審議委員会


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