雑木林のあるまち 北本自然観察公園

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埼玉県のほぼ中央に位置する北本の南西部、大字(おおあざ)荒井と石戸宿との境、八重塚(やえづか)の谷津(やつ)と呼ばれる場所が県の自然観察公園予定地である。ここは、大宮台地の雑木林の斜面林(しゃめんりん)と、湧水(ゆうすい)などによって開析(かいせき)された大小の谷津、および西側を流れる荒川からなる独得な複合的環境(かんきょう)である。そのため、県南地域では既(すで)に絶滅(ぜつめつ)してしまった動植物をも見ることができる。この谷津は、昭和60年ごろまでは長い間水稲耕作(すいとうこうさく)が行われており、桜堤(さくらづつみ)からの高低のながめのコントラストの美しい場所であった。休耕田となってからは、一面の湿地性植物(しっちせいしょくぶつ)が繁茂(はんも)している。この谷津の縁(ふち)を一周できる北本市自然遊歩道を歩いてみると、場所により季節により様々な植生と、そこに来る動物や昆虫(こんちゅう)、鳥などの生態が見られる。
北本自然観察公園
昭和34年に、台地上に農林省農事試験場畑作部が置かれたため、周辺地域のように開発の波にのまれることなく、現在まで原風景を保ってきた。しかし、試験場移転後は北里メディカルセンター病院の設立などによって、大きく様変わりしている。
32.9ヘクタールの予定地をもつ広大な北本自然観察公園は、自然保護と自然観察の両方の立場から設立される県下初の公園である。
おそらく、1,000年以上続いたであろう八重塚の谷や谷津田(やつだ)は、今や自然観察公園として新しく生まれ変わろうとしている。

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