北本のむかしばなし 伝説や昔話

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あみにかかったお地蔵様じぞうさま

むかし、上中丸村に、蓮沼はすぬまとよばれたぬまがありました。蓮沼では、雨上がりなどには、とてもたくさんのえびや魚がとれました。そんなとき、村びとたちは、きまってあみを持ち出したものです。
ある日のことです。いつものように、村びとがえびを取りにぬまにやって来ました。「さあて、きょうもたくさんのえびを取ってやるぞ。ここのえびはうまいからなあ。」といいながら、あみを投げました。「そうれ。」と、あみを投げるたびに、おもしろいようにえびがかかりました。
何度かくりかえしたときのことです。急にあみが重くなりました。「おや、なんだろう。」村びとはふしぎに思いました。いっしようけんめい引っぱっても、あみはなかなかあがりません。ようやく引き上げたあみを見て、村びとはこしをぬかさんばかりにおどろきました。なんと、あみには、お地蔵様じぞうさまがかかっていたのです。
村は、おおさわぎになり、たくさんの村びとがぬまに集まってきました。そして、いったい、どうしてぬまの中にお地蔵様がいたのだろう、と首をひねりました。「村の人が幸せにくらせるように、お地蔵様がこのぬまで、守っていてくださったにちがいない。」
村びとたちは、ありがたいお地蔵様のために、たくさんの道が集まった五道ごどうつじというところにおどうをたてることにしました。そのお堂は、えび取りをしていたときに見つかったお地蔵様をおまつりしたので、「えび堂」とよばれました。また、えび堂のかたわらに植えられたまつの木は、「えび堂松」とよばれて、お地蔵様とともに、村びとにとても大切にされたということです。

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