北本のむかしばなし 子どもの遊びとくらし

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子どもの遊びとわらべ歌

みなさんはお手玉で遊んだことがありますか。むかしの子どもたちは、お手玉のことをナンゴとよんでたいへん楽しく遊びました。女の子たちが何人も集まって、みんなでこんな歌を歌いながらナンゴをするのです。

  とんとんとのさま どっちござる
  おんたかじょろしゅの おびかいに
  おびはなにおび しゅすのおび
  しめてみたらば しなしなと
  たたんでみたらば ふくぶくと
  へやのすみへ おいたらば
  あねごにとられて はらがたつ
  そんなにおはらが たつならば
  さつやのさつでも あげましょか
  それでおはらが  たつならば
  かめやのかめでも あげましょか
  それでおはらが たつならば
  たんす ながもち みなあげる
  てるしょ まるしょ
  まずまずいっかん かしもした
いうふうでした。
もちろん、このナンゴは自分で作りました。小学校の二、三年生になると、みんな自分ではりと糸を持って、ひとはりひとはりぬっていくのです。なかには、イゴノミというや、ダイズ・アズキなど音のよくするものをいれました。自分で使うナンゴを作るのですから、みんないっしょうけんめいです。 それで、おさいほうも少しずつじょうずになっていきました。
そのほかに、こんな歌もありまじた。
  ひいふうみいよ おみやのけしきで
  おはるとながめて
  ホーホケキョ ホーホケキョ
  うぐいすや うぐいすや
  たまたまみやこへ のぼるとせ
  うめのこえだに ひるねして
  あかさかやっこの ゆめをみた
  したはちんちんちんちりめん
  うえはこんこんこんちりめん
  これだけしたてて やるからにゃ
  よめにいっても でてくるな
  あさははやおき 四九まいのとをあけて
  じいさん ばあさん おきやっせ
  まどのあかりで かみゆって
  じいさん ばあさん おきやっせ
  けさのおかずは なんじゃいな
  ひじきにあぶらげ やきどうふ
  まずまずいっかん かしもした
歌の最後さいごは、たいてい「まずまずいっかん かしもした」で終わるのです。 その他には、おはじきもよくやったそうです。おはじきのことは、キシャゴとよんでいました。キシャゴは、家の中でも、学校や外でもよくやったのだといいます。
「あてっこ」というのは、手の中にかくしたキシャゴをジャラジャラいわせて、中にいくつ入っているかを当てる遊びです。また、「いっすんぱー」というのは、つくえの上でキシャゴをはじき、「いっすんぱー にすんぱー」といいながら他のキシャゴに当てていきます。
まりつきも、女の子たちがよくやる遊びの一つでした。歌もたくさんあります。
  いちもんめ いっちょう
  にもんめ いっちょうにちょう
  さんもんめ いっちょうにちょうさんちょう
というふうに、まりつきがつづくうちどんどんふえていく歌もあれば、
  おつきさまいくつ 一三ななつ
  まだとし わかいな
  ねんねちゃんをうんで だれにだかしょ
  おまんはどこいった
  あぶらかい ちゃかい
  あぶらやのせどで すべってころんで
  あぶらいっしょう こぼした
  そのあぶらどうした
  たろうどんのいぬと じろうどんのいぬと
  みんななめてしもうた
  まずまず いっかんかしもした
という歌もありました。ナンゴの歌で、まりつきをやったりもしたそうです。
では、男の子はどうだったのでしょうか。
今の男の子たちは、コマ回しをやることがあるでしょうか。 むかしの子どもは、木ゴマに鉄のわくをつけて、回しながらぶつけて遊びました。これを、コマゲンカといいました。
自分のコマを強くするために、コマと鉄のわくの間にボロぬのをつめたり、中にはこっそりとつけものおけの中にコマをいれて、わくをきつくしたりする子どももいたそうです。
メンコもよくやりました。メンコのことはブッツケとよんで、とくに冬にやることが多かったそうです。遊び方は何種類なんしゅるいもありましたが、メンコを地面にたたきつけて、あいてのメンコをひっくりかえすのがふつうでした。むずかしいわざも、自分たちで考えながら作っていったそうです。
荒川あらかわの近くに住む子どもたちは、川遊びもよくやりました。むかしの荒川は、今のように深くはなく、夏には子どもが入っていってもせが立つくらいでした。そこで、うろ(あな)に手をつっこみ、ナマズやウナギを手づかみでとったりもしました。ヌルヌルするものが多いので、手ぬぐいを使って、その上からつかむようにしたそうです。
それから、自分でさおを作ってさかなつりをすることもありました。ざいりょうは、しの竹で、ふしをけずったり、火であぶってまっすぐにして使いました。 ウキはきりの木をけずって作りました。えさには、ミミズを使い、マブナやハヤをつったそうです。つった魚は家に持ち帰り、食べたそうです。そのほか、荒川では、うけや、よつであみを使って、魚をとったこともありました。
このように、子どもたちはいろいろな遊びをしていました。 その多くは、自分で道具を作りながら、大きな子どもが小さな子どもに教えて、いっしょに遊んでいたようです。そして、遊びだけでなく、家の仕事も、たいへんよく手伝てつだったといいます。

(1)うけ………細いわり竹を筒型つつがたにあんで作った魚をとる道具。子ども用にガラスのうけもあった。

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