北本市史 通史編 自然

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第1章 北本の地形

第1節 北本の地形的位置

北本市は、広大な関東平野のほぼ中央部に広がる埼玉平野に展開する。市域の多くは大宮台地の北西端部にあるが、台地の東西には荒川や赤堀川の沖積低地(ちゅうせきていち)が発達し、高尾・荒井付近には顕著(けんちょ)な開析谷(かいせきこく)を見ることができる。
市域に隣接する鴻巣を北端に、北西から南東方向に桶川・上尾・大宮・与野・浦和・鳩ヶ谷に至る大宮台地は、東西約一五キロメートル、南北約三五キロメートルに及ぶ紡錘状(ぼうすいじょう)の独立した台地で、中央部の大宮付近で最も高度が低く、ここから北西・南東方向に海抜高度を増す中だるみの形態をしている。
大宮台地は、関東造盆地運動により西高東低の様相を示し、その最高海抜高度(三二メートル)を示す市域西部の荒井・高尾付近の台地は、荒川低地と一五メートルもの比高差を示す急崖で境いされ、台地と低地の境界は極めて明瞭に画される。
高尾や荒井・石戸宿を頂点とする高位台地面は、関東造盆地運動の中心地にあたる加須低地(かぞていち)に向かって次第に高度を減じ、深井や古市場付近で沖積低地下に埋没するために、台地と低地の区別はつけにくい。
高尾・荒井・北袋付近の台地上を深く複雑に掘り込む開析谷は、大宮台地上のどこよりも良好に発達し、台地の平坦な地形に顕著な起伏を付加している。
開析谷の谷壁や谷底から湧出する地下水や、台地斜面から流入する水は、谷地や沼沢地(しょうたくち)を潤(うるお)し、水生動植物に豊かな生育環境を提供し、首都近郊に残された数少ない良好な自然環境として注目されてきたが、近年急激に開析谷の埋立てが進み、貴重な自然環境の破壊が憂慮されている。
一方、豊かな自然に恵まれた市域では、これまで保たれてきた貴重な自然環境を生かした県立北本自然観察公園の建設が進められ、かけがえのない自然保護の努力が続けられている。

図1 関東平野の地形面区分

1.沖積低地 2.立川面・武蔵野面 3.下末吉面 4.多摩面 5.下部更新統・鮮新統の丘陵 6.中新統・中生界・古生界の山地 (1981:地質学論集第20号、小玉・堀口・鈴木・三梨より作成)

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