北本市史 通史編 自然

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第3章 北本の土壌

1 黒ボク土

大宮台地上には、黒ボク土とよぶ土壌が広く分布する。腐植に富み黒色ないし暗褐色を呈し、ボクボク(粗しょう)した性質をもち、火山灰を母材にして生成した土壌である。すなわち、黒ボク土の名前は、その土壌の特徴と性質に由来する。黒ボク土は粗しょうなため耕し易く、また水持ちのよい土壌構造をもっため、畑地として好都合な性質をもっている。他方、黒ボク土やその母材の火山灰は、可溶性アルミナに富むためにリン酸吸収力が強い。そのため可溶性アルミナは植物が養分として吸収できる可溶性リン酸と結合し、不溶性のリン酸に変えてしまう。この結果、植物(作物)は、リン酸欠乏となり、その生育は阻害されるという。これを改善するためには石灰やリン酸肥料を施す必要があり、一見肥沃(ひよく)にみえる黒ボク土の化学性は、作物にとってけっして良好な土壌ではなかった。
母材の火山灰は、富士山や浅間山の活動に由来し、数万年前から一万年前ごろに堆積した関東ロームとよばれる。「黒さ」の原因の一つはススキ草原植生下で生成したことにあるといわれている。ススキの植物体生産蛍は他の植物より高く、土壌への植物Ja体供給里が多い。他方火山灰は可溶性アルミナに富み、植物遺体の分解物すなわち腐植を結合する機能が強くこれらの作用がからみあって黒い土壌、すなわち黒ボク土を生成したものである。

図21 黒ボク土の土壌断面(石戸宿)

(『市史自然』P47より引用)

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