北本市史 通史編 原始

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第2章 豊かな自然と共に

第3節 台地の恵み

表土ができた
気温が上がり、草が生え、木が繁り、あるいは朽ち、また新芽が萌(もえ)出ての繰り返しで、さしものロ—ム土も腐植土と化し、さらに雨や風で土が流れたり飛んだり、あるいは逆に積もったりしながら徐々に堆積し表土を形成するに至った。現在石戸宿辺りで、約二〇センチメートルの厚さの腐植土が堆積している(自然P四四)。ヤド口による客土農法(きゃくどのうほう)地帯なので、自然堆積による腐植土が削られている可能性もある。高尾の阿弥陀堂の近くでは六〇センチメ—トル近い腐植土層となっている。平均三〇センチメートルと見て、三〇センチメートル形成するのに約ー万年を要したということである。もう少し身近な時間尺度になおすと、ー〇〇年間かかって三ミリメートルの厚さの腐植土が堆積したということである。ローム土でも植物は生育するが酸性度が強く、腐植土のようにはいかない。旧石器時代を脱し、縄文文化を進展させた原動力は林や森によるところが大である。私たちの<食>を支えているのも、この僅(わず)か三〇センチメートル強の腐植土なのである。

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