北本市史 通史編 原始

全般 >> 北本市史 >> 通史編 >> 原始

第2章 豊かな自然と共に

第3節 台地の恵み

北本市の植生
現在の植物生態学によれば、ある土地に生育している植物の集団を植生といい、植生が何らかの基準によって区分され、単位性をもったとき、これを植物群落と呼んでいる。すべての植物群落は、自然のままにおかれると、その地域の気候が許す最高の発達段階の群落に向かって、優先種や構成種の交代が起こる。この種の交代現象を植物遷移(しょくぶつせんい)と呼んでいる。現在の大宮台地は、気候帯では暖温帯に属し、植物は「ススキ・チガヤ草原→アカマツ林→クヌギ・コナラ林→シイ・カシ林」と極相林(きゅくそうりん)である常緑広葉樹林に向かって遷移していくのである。市内の林を見回したとき、多くは雑木林である。これはコナラ・クヌギ林の状態である。遷移途中の状態であるばかりでなく、人が絶えず管理をしていたから雜木林の状態を維持できていたのである。草や芽生(めば)えてきた常緑樹を刈り取ったり、コナラやクヌギを薪炭材(しんたんざい)として切り取ったりして、年中管理していたからこそ維持できたもので、管理を疎(うと)んじるようになった現在、常緑広葉樹林に遷移しつつある状態が観察できる。特に照葉樹(しょうようじゅ)と呼ばれるツバキのように葉がテカテカ光る木々が林を形成する、照葉樹林と呼ばれる林が形成されつつある。

<< 前のページに戻る