北本市史 通史編 原始

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第2章 豊かな自然と共に

第7節 地方との交流と交易

地方との交流
普段の生活としての縄文人の領域は、半径五キロメートルぐらいなものである。しかし、私たちが認識できる縄文人の時間の単位は細分したー土器型式の数十年単位であるから、そのなかではおどろくほど広い地域と情報を交換しているのである。情報が行き交う最も典型的な例は土器がもつ文様や器形である。私たちは土器の文様や器形や器の組みあわせをみて属すべき土器型式を認識している。このことは<関東>といった地方単位で同じ土器型式が使用されているからである。運ばれてきた土器をモデルとしてコピーを作ることもあっただろうし、土器の作り手が婚姻で新たな家族となったときに、旧在地で作っていた土器を新しい土地でも作ることによって土器型式は広がっていったのである。石器の作り方、獲物の捕り方、食用植物の採取の仕方、縄の作り方など、生活を営むに必要なありとあらゆる情報が子どもへ伝承されるとともに、交流のある他の人に伝えられたのである。生産の道具や精神世界を表わす道具が広域で同じであり、生活の同質性を示している。

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