北本市史 通史編 近世

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第3章 農村の変貌と支配の強化

第6節 人馬役負担の増大と紛争

2 宿駅と助郷の紛争

文政十一年八月の訴状取り下げ
文政十一年(一八二八)八月、鴻巣宿助郷の原馬室・荒井・高尾・宮内・下谷の五か村は、同じ助郷の大間・中野・滝馬室・深井・笠原の五か村役人が、趣意を破り問屋場へ立会って人馬継立ての差配をしたということで訴えた。それについて吟味をしたところ、問屋場へ出向いたのは改革(文政改革)の件につき問屋場裏座敷で相談するためで、平日問屋場へ詰めて人馬の差配をしたことはない。しかし、関東取締出役が来村するための相談であっても問屋場へ行くのは筋違いで、以後は宿役人宅で相談することとして、双方から訴訟の取り下げを願った(県立文密館蔵 藤井家文書二四九)。
この一件から、助郷惣代以外は村役人であっても問屋場へ行くことが不正を企てるとみなされるように、この時期の人馬役負担が村々にとって重くなっていたことが知られよう。

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