北本市史 通史編 近世

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第3章 農村の変貌と支配の強化

第8節 生活と文化

2 民間信仰と寺社参詣

屋敷神
民間信仰の基底をなしていたものは、あるいは屋敷神であったかも知れない。『北本の屋敷神』(北本市文化財調査報告書第十三集)によれば、江戸時代の紀年銘をもつ屋敷神は三三例確認されている。これらは信仰心篤くしかも経済的余裕のある場合の特例とみなしてよく、石刻の神体を有さないまでも、年の始めには新わらを葺いて作る「お仮屋」で屋敷神を祭る風習が古くから行われていたことは想像に難くない。なお、ちなみに同書によれば昭和五十八年に悉皆(しつかい)調査による市内の屋敷神を祭る総戸数は七五〇戸で、この分布は人口の増加が停滞していた昭和二十年ころまでの村落とほぼ一致し、その詳細を表46のように報告している。
表46 祭神別屋敷神数
 1234567891011121314
 北中丸花ノ木常光別所 山中古市場本宿東間宮内深井石戸宿下石戸上 下石戸下 高尾荒井


B/A×100
明治9年戸数127 12 32 13 26 44 55 60 59 145 80 79 185 111 1028 
屋敷神所在確認数 75 29 12 19 37 48 45 49 102 57 61 115 94 A
 750 
ウジガミ B  42 5.6 
稲  荷 42 12 12 25 38 26 34 43 35 35 72 58 442 58.9 
八  幡 13 14 17 13 16 15 123 16.4 
若宮八幡 18 2.4 
弁財天 40 5.3 
荒  神 16 24 3.2 
神  明 21 2.8 
天  神 10 1.3 
金毘羅 0.9 
諏  訪0.9 
雷  電0.8 
第六天 0.7 
浅  間 0.8 
権  現12 1.6 
三  峯1.1 
宝豈山 0.8 
秋  葉 0.5 
白  山 0.5 
愛  宕 0.4 
氷  川 13 1.7 
*その他 38 5.1 
祭神不明 18 12 34 13 16 127 16.9 
延祭神数 97 12 44 13 27 44 57 55 64 143 80 82 133 115 966  

注 *その他の祭神について、〈北中丸〉八坂、オヒラ様。〈常光別所〉薬師。〈山中〉不動。〈本宿〉毘沙門、恵比寿、八雲。〈東間〉山王、無縁様、サンポウ樣。〈宮内〉地神宫、馬頭。〈深井〉住吉。〈石戸宿〉観音、不動、馬頭、龍神。〈下石戸上〉観音、不動、具利加羅不動、摩利支天、疱瘡、守護神。〈下石戸下〉馬頭、庚申、レイジン、太陽神。〈高尾〉高尾山、帝釈天、若宮稲術(ママ)、ハンソウボウ様。く荒井〉高尾山、霧島、金神、鬼神、道祖神、ミタマ、不動。……いずれも各1社
(『北本の屋敷神』P10より引用)


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