北本市史 通史編 近代

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第3章 第一次大戦後の新展開

第2節 地域産業の発展と動揺

4 北本の商工業

商工業の実態

写真109 樽詰めされた北本の地酒

昭和2年ころ(小林恒一家提供)

北本は鴻巣・桶川の両商業圏に属していたから、独自の商業的発展はみられなかった。そして、その商工業は生活に関連するものがほとんどであった。昭和十年四月に石戸村の商工業者約一五〇名が石戸村商工会を設立し(近代№一五二)、流通機構を整備する努力がなされた。
工業も日々の生活につながるものがほとんどであり、醬油や酒の醸造などが行われた。特に酒に関しては、埼玉県酒造組合主催の清酒品評会やその他の品評会において、中丸村からの出品が明治末年から大正にかけて何度も入賞を果たした。その当時の銘柄は「銀婚」、「大石正宗」などであった。
明治期より存在した工場としては、中丸村に明治三十八年創立の白木綿を製造する下村合名会社があった(『北足立郡事一班』P二〇三)。大正五年十二月には深井合名会社工業部織布(しょくふ)工場(下村工場)が創立三十周年となり、中丸村としては最古の工場であった。
昭和十四年九月八日付の『東京日日新聞』には中丸・石戸・馬室村の三か村合同で、北本宿駅付近に工場誘致運動を行ったという記事がみられる。

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