北本市史 通史編 現代

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第2章 都市化から安定成長へ

第6節 都市化と変貌する北本

3 衛生施設の近代化と福祉活動

し尿処理の近代化
都市化の進行は生活の近代化を要求する。生活の近代化のためには、し尿・ごみの衛生的処理が必要である。伝染病予防、公衆衛生向上の面からも大切なことである。特に人口が増加している状況にあっては、一日も早く解決しなければならない課題であった。
し尿・ごみの衛生的な処理のためには処理施設を建設することが必要であるが、建設するとなれば財政負担が大きく、当時では一つの地方自治体で建設することには相当な困難を伴うものであった。北本近隣の市町村も事情は同じであり、そのため、北本では鴻巣市、吹上町、菖蒲(しょうぶ)町、川里(かわさと)村と共同で処理施設を建設する計画がたてられ、昭和三十九年七月、「北本町外一市二町一村衛生組合」が設立された。
設立理由書の中では、設立理由について、次のように強調されている。
衛生組合設置理由書
理由書
鴻巣市、北足立郡北本町及び吹上町、南埼玉郡菖蒲町並びに北埼玉郡川里村の一市三町一村は、埼玉県のほヾ中央に位している。鴻巣市、北本町、吹上町の中央を国鉄高崎線及び国道十七号線が縦断し、交通至便なところから東京都、県南都市への通勤区域又工場の新設等により、人口世帯数は著るしく増加し、急激な発展をみております。
しかしながら、関係市町村が永い間の懸案となっておりますし尿処理施設については財政上又建設用地の関係から、未設置のま、現在に至って居ります。
住民が健康で高度な文化生活を営むうえから、し尿、ごみの収集処理は住民が生活するための急務であり伝染病予防と共に、公衆衛生上一日も等閑に付することが出来ぬ問題でありこれが整備については、各種事業に優先して実施する必要があります。
衛生組合を運営する経費は各市町村が分担するものとされ、三十九年度の人口に基づいて割りふられた。衛生組合では北本町常光別所に北本総合処理場を建設することを計画し、四十年三月に建設が始められた。しかし、その間、衛生組合内部では大きな問題が生じていた。組合を構成する五市町村の経費負担は、三十九年度の人口に基づいて割りふられた結果、負担率は鴻巣市四三パーセント、北本町ニニパーセント、吹上町一九パーセント、菖蒲(しょうぶ)町一二パーセント、川里(かわさと)村四パーセントと決められていたが、その後の人口変動による負担率の見直し問題が持ち上がり、さらに業者選定の問題がからんで、三十九年三月鴻巣市と他町村との対立が表面化し、同市は組合脱退を主張するという緊迫した事態となった(現代NO一二六。埼玉県もこの対立を無視できず再三同市を説得したが、事態が収拾(しゅうしゅう)されないまま、四十一年十一月処理場が建設された。しかし、このような状況にあったため、建設された処理場は操業ができない状態であった。
四十二年六月になり、鴻巣市から、「負担率の比率を四十二年五月一日現在の人口割で計算する。鴻巣市生出塚(おいぬずか)から処理場までの市道の拡張、処理場周囲の残事業は鴻巣市と北本町が折半(せっぱん)で負担する」(『埼玉新聞』昭和四二・六・ニ〇)という案が提出され、この案を北本が了承することにより、三年間にわたり続いた対立に終止符がうたれることとなった(現代NO一二ハ)。

同年十一月、建設されていたし尿処理場のしゅん工式が行われ、処理人口 ー〇万人のし尿処理が行われようになり、生活近代化のための第一歩がふみ出された。

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