北本市史 資料編 自然

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第3章 北本の土壌

第2節 沖積低地の土壌

調査地点№4市内下沼
荒川左岸の耕地整理された水田である。土壌層位は、A1pg (耕作土)/A12(スキ床層)/B1ir(鉄集積層)/B2mn (マンガン集積層)よりなる(図8)。
図8 調査地点№4の土壌断面

土壌層位 土色 腐 植 土 性 構 造 斑 紋 記 事 
A1Pg 灰 含む SiCLシルト質埴壌土  クルミ状 糸状鉄 耕作土 
A12 灰 無 SiCL 壁 状 無 スキ床層 
B1ir 灰 無 SiCL 壁 状 糸状鉄 鉄集植層 
B2mn 黒灰 無 SiCL 壁 状
乾燥すると亀裂が発逹 
糸状マンガン
雲状マンガン 
マンガン集積層 

土地利用 水田
地形 荒川(左岸)沖積低地

水田土壌の特徴とされる緻密で粘土質のスキ床層(A12)が認められる。これはシロカキによりA1pgが耕やされ、細かい粘土分が下方へ沈積し、堅められしだいに不透水層となり、水田特有の土壌断面をつくりだした。
耕作土 (A1pg)は湛水期に還元となり、鉄は二価鉄となる。調査は落水している冬季(十二月)に実施したが、α-α´ジピリジル反応が顕著にあらわれ、還元状態が長く続いていると予想される。
スキ床層(A12)以下はα—α´ジピリジル反応は認められず、酸化的環境下と推定される。B1irとB2mnは、それぞれ鉄斑紋・マンガン斑紋集積層で、夏の湛水期に還元し、下層(溶脱)酸化され斑紋が形成される。冬期は完全に落水しており、B2mnにタテ状に亀裂が認められた。トレンチにおいても地下水面は認められなかった。当地の水田はかなり以前に耕地整理が実施され、かんがい・排水施設が完備された。その影響が土壌断面に反映されていると判断してよい。
以上の断面観察から、この水田土壌はかんがい・排水のととのった表面水型水田土壌と考えてよいだろう。このような水田土壌は荒川低地のように耕地整理された水田地帯に広く分布する。

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