北本市史 資料編 自然

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第6章 北本の植物

は じ め に
北本市の植物は、園芸、農耕地、台地上の屋敷林、薪炭林、荒川の支谷(谷地田)に成立する湿地性草原に大別できる。
北本市の大部分が荒川中流域の洪積台地(大宮台地)上に位置しており、その西縁は荒川の支谷が台地を枝状にきざんでいるため、土地利用の形態や、それに伴う植生は変化の多い地形に対応して分布している。たとえば台地上には畑、果樹園、屋敷林が分布する。かつての薪炭林ないし屋敷林はクヌギ-コナラ群集のいわゆる雑木林、アカマツ-ヒサカキ群集、シラカシ、モウソウチク、スギ、ケヤキの人工植栽林などで占められている。台地縁辺の斜面林にはクヌギ・-コナラ林が多く、一部にモウソウチクも存在する。谷地田は水田として利用されているか、あるいは休耕田として放置されている場所が多く、ウキヤガラ-マコモ群集やフトイ群集、あるいはウリカワ-コナギ群集などの湿地性の草本植物群落がみられる。市内では近年、公団北本団地や北本南団地の造成をはじめ、道路拡張、区画整理など都市化に伴って地域の環境に大きな変化が生じつつある。それでも市内の各所に豊かな自然が残り、自然度の高さ、生態系の保存のよさが注目されている。
現存植生図によれば、まとまった林分として残っているのは石戸宿、荒井、高尾の台地縁辺の斜面林である。その多くは落葉広葉樹林であるが、薪炭としての利用が減少したせいで、より自然度の高い林となっている。この種の林も一部で開発が始まり、自然の保全を要求する声の高まりをうけて、県立自然観察公園の建設が決定した。
もう一つのまとまった林分はJR高崎線の両側に分布する台地上の落葉広葉樹林で、こちらも開発によって急速に減少しつつある現況である。
谷地田は湿地性植物だけでなく、昆虫類、鳥類などを含めた生態系が豊かな空間である。ここにはハンゲショウ、ミズワラビ、ノハナショウブなど貴重な植物が残存している。

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