北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第1節 荒川沿岸の遺跡

北袋Ⅶ遺跡 (大字荒井字北袋・大字高尾字中井)
遺跡は、荒川と逆従の谷に浸食され、北方に向かって狭長にのびた台地の中央より少し付け根によって位置している。標高は三〇・九メートル、沖積低地との比高差は、西側の台地直下とは十四・七メートル、東側とは七メートル近くである。縄文時代中・後期、弥生時代、古墳時代、平安時代と複合した遺跡である。遺跡の名称も中井一号古墳と中井二号古墳が使われているが、いずれも北袋Ⅶ遺跡の範囲内に包括される遺跡である。

図16 北袋Ⅵ遺跡位置図

縄文土器 図17の1は深鉢の胴中位の頸部片、色調は淡赤褐色を呈している。胎土に微細な砂粒を含んでいる。器面には沈線で文様が描かれている。器内面は荒れている。称名寺(しょうみょうじ)式である。
4は口縁がわずかに外反する深鉢。色調は褐色である。胎土に小石を含んでいる。内面は磨かれている。頸部に細い隆帯をめぐらし、キザミを入れている。胴部は斜行する沈線を施文している。後期の堀之内式である。
埴輪 6〜14・16は埴輪片である。色調は16を除き他は淡赤褐色を呈している。胎土に微細な砂粒・鉄分を含んでいる。7は凸帯をめぐらし、凸帯及び直下をナデているハケ目は縦位である。凸帯直下のナデは所により深く、沈線に近くなっている。8〜11もハケ目を縦位に施している。内面は無文である。10には透孔(すかしこう)の一部がある。6・12〜14は基底部片である。ハケ目を縦位に施している。内面は無文である。16は形象(けいしょう)埴輪片、器面にハケ目を施し、内面は無文である。
須恵器 15の色調は褐色である。胎土に大粒の石粒や微細砂粒、石粒を多量に含み、軟弱な焼きである。器面はヤリガンナのような多少刃に反りのある工具で一・五〜二センチ幅で縦に削りとっている。各削り面の間は二〜三ミリ幅で残り、隆起带の如き趣きを持っている。内面はきれいになでられている。
2の器面は黒褐色、内面は灰褐色を呈している。他は灰褐色を呈している。堅緻な質感である。2は器面に浅く敲き目が残り、内面には二種類の敲き目が見られる。5の色調は灰褐色を呈している、焼成は堅く焼きあがり敲くと金属的音を発する。器面に敲き目が残り、内面は無文である。5の色調は黒褐色を呈している。底部分は糸切り底である

写真8 北袋路Ⅶ遺跡現状

図17 北袋Ⅶ遺跡出土遺物拓影図



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