北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第1節 荒川沿岸の遺跡

旧石器時代
定形的な石器は、八重塚遺跡A区の黒耀石(こくようせき)製ナイフ形石器一点、頁岩(けつがん)(泥岩?)製打製石斧ニ点、同遺跡B区の頁岩製剝片一点、同C区の黒耀石製ポイント一点、同D区の黒耀石製ポイント二点の都合七点である。いずれも二次堆積土からの出土で、出土層位が不明であるとともに、フレーク等の伴出がない。定形的な石器は含まれていないが、八重塚遺跡B区から製作跡が見つかっている。チャートのフレーク、チップ、石塊(コア?)等三十四点が出土した。B区の頁岩製剝片(はくへん)も含め、この製作跡と結びつく石器は目下のところ見つかっていない。しかし、調製痕・使用痕のあるフレーク等もあり、今後の分析により、石器からは得られない情報も導き出せるであろう。また、D区のポイントは未製品であり、使用されてたまたまそこに残ったものではない。近くに製作跡があることを示している。製作跡を見つけたいものである。八重塚遺跡A区と諏訪山南遺跡の黒耀石(こくようせき)製ナイフ形石器は、小形で共通性が高く、同一時期の所産である。ナイフ形石器の終末の姿であり、細石器(さいせっき)文化に組み込まれているのではなかろうか。八重塚遺跡A区の打製石斧ニ点は、旧石器時代終末期の文化が、確実に存在していることを証している。

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