北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第1節 荒川沿岸の遺跡

城中Ⅳ遺跡 (大字高尾字城中)
遺跡は、樹枝状支谷の中央部に張り出した台地上に位置している。遺跡の広がりは南北三九〇メートル、東西二五〇メートルである。台地上に二八・四四メートルの三角点がある。最高部で二九・二メートルである。沖積面との比高差は、一〇~一五メートルである。

図86 城中Ⅳ遺跡位置図

採集遺物は縄文土器片、頁岩片、土師器片である。

図87 城中Ⅳ遺跡出土遺物拓影図

図87の1~4は、早期末の条痕文系土器である。色調は1~3が淡黄褐色、4が淡赤褐色である。胎土に微量の繊維と、多量の砂粒を含んでいる。焼成はすこぶる良い。1は小さな波状を呈する口縁で、外反している。器壁厚は八・三ミリである。地文は条痕文である。施文方向は、個々の施文単位は上から下で、施文単位を下から上に重ねている。下端は六〇度前後、その上に一〇度前後の斜度で、上端は口縁に沿って施している。最後に貝殻腹縁文を、七六度前後の斜度で施している。施文間隔は七〜八ミリである。裏面にほぼ水平に条痕文を施している。2の器壁厚は一一・四ミリである。定かではないが、硬い繊維で撚った縄文Lを淡く施している。3は器壁厚が一・二ミリである。貝殻腹縁文(かいがらふくえんもん)を三条施文している。施文間隔は七~八ミリである。後世のキズで詳細は不明である。裏面の条痕文は、ほとんど消している。4の器壁厚は九ミリである。細い沈線により格子目文を施している。施文順位は左傾の後右傾である。裏面に条痕文が数条残っている。2・4は茅山上層式であり、1・3は茅山上層式に後続する型式である。

写真43 城中Ⅳ遺跡現状

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