北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第1節 荒川沿岸の遺跡

庚塚I遺跡 (石戸宿二丁目・四丁目)
遺跡は樹枝状に発達した支谷の谷頭の一つに近く、谷の南側の台地上に位置している。この谷は遺跡の少し東側に谷頭があり、西北方向に逆従して浸食して形成され、開口部は荒川である。開口部近くでいくつかの谷に分かれている。
採土工事で発見されたもので、カッティング面の住居址から土器が採集されている。
図144の1は短い口縁がわずかに開く鉢。四分の一が遺存している。推定口径九センチ、現存高八・五センチ。胴部最大径一一・八センチである。胎土に石英粒を含んでいる。色調は淡黄褐色で、内面は褐色を呈している。へラ削り後、ハケ整形したのち丹念に磨き、滑沢をおびている。内面は口縁をナデ整形し、押されてはみ出した粘土が頸部で稜(りょう)をつくっている。2は甕の底部。底径は五・四センチ。ハケ整形後磨いている。内面にハケ目が残っている。4は壺の口縁部。胎土に石英粒を含んでいる。色は淡黄褐色を呈している。口唇を外そぎにした複合口縁である。内外面ともへラー磨きであるが、外面より内面の方が丁寧に仕上げている。3は坏。推定口径一四・三センチ。口唇部が短く外反する。口唇上端を削り、内側に稜をつくり出している。1・2・4は五領Ⅱ式、3は国分(こくぶ)式。

図143 庚塚Ⅰ遺跡位置図

写真83 庚塚Ⅰ遺跡現状

図144 庚塚Ⅰ遺跡出土遺物実測図

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