北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第2節 江川流域の遺跡

東谷足(ひがしやたり)Ⅰ遺跡 (本町六丁目)
この遺跡は、市立北本中学校の西方約一五〇メートルの位置にある。江川左岸の支谷東側の緩斜面に立地し、標高は二三~二四メートルを測る。遺物散布地は小湧泉を囲むように、南北一二〇メ—トル×東西八〇メートルの半月形の範囲内にある。遺跡の現状は住宅地と畑とから成っているが、市街化が進行中である。
遺跡の性格としては、縄文時代の集落跡で、昭和四十六年の分布調査によれば、縄文時代早期と中期の土器片が主体として採集されている。それらの土器片の拓影図が図149である。
1は、早期の田戸(たど)下層式土器の破片とみられ、貝殻の口縁で斜めに文様をつけている。早期末の平方式(打越式)の可能性もある。
2~6は、中期初頭の五領ケ台(ごりょうがだい)式の破片とみられ、よく研磨された器面に沈線と列点を施文している。
7~16は、中期後葉の加曽利EⅡ・Ⅲ式土器の破片とみられ、粒の大きい縄文と太い沈線を組み合わせて施文している。
このような土器の所見から、この遺跡には縄文時代中期の住居址が相当数、埋まっていると推定される。

図148 東谷足Ⅰ遺跡位置図

写真84 東谷足Ⅰ遺跡現状

図149 東谷足Ⅰ遺跡出土遺物拓影図

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