北本市史 資料編 古代・中世
第2章 中世の北本地域
第3節 後北条氏の支配と北本周辺
天正十八年(一五九〇)六月一日浅野長吉は、足立郡鴻巣郷の大島大炊助等五人に、在地に還住し、耕作に励むよう命ずる。
256 浅野長吉証状(折紙) 〔大島文書〕
以上
汝等五人之事、如前々在所へ令還住、耕作以下可申付候、若菟角申者於在之者、此方へ可申来候也
浅野弾正
六月一日 長吉(花押)
武州足立郡内鴻巣郷
大島大炊助
大島大膳助
矢辺新右衛門
矢部 丙部
小川 図書
以上五人遣之
〔読み下し〕
256 汝等五人の事、前々の如く在所へ還住せしめ、耕作以下申し付くべく候、もし菟角申す者これあるにおいては、この方へ申し来るべく候なり
〔解 説〕
この文書は、足立郡下宮内村(北本市)の大島家に伝えられたもので、岩付落城後の領内の動向を示す貴重な史料である。
文意は、豊臣の部将浅野長吉が大島大炊助等五人に対し、在所へ帰住して耕作に専念することを命じたもので、それを妨げる者があれば当方へ申し出よとしている。この五人のことについて関説した「大島氏系略」が大烏隆三家に所蔵されている(第四章参考資料「記録・系図等」の項参照)