北本市史 資料編 近世

全般 >> 北本市史 >> 資料編 >> 近世

第2章 村の生活

第3節 産業と金融

7 質地証文

129 延享元年(一七四四)十二月 元宿村伊右衛門質地証文
  (宮内 滝沢巌家文書一一)
     質地証文の事
一右は子御年貢諸事払方ニ相詰り、我等持分下畑壱反弐畝拾六歩所質物ニ入置、金子合五両弐分只今慥ニ請取借用申所実正也、年季の義ハ当子より寅迄三年ニ相定、年明申候ハゝ右金返進仕候ハゝ畑無相違御返シ可被下候、若シ返進不被仕候ハゝ貴殿方二て御年貢御役御勤名畑ニ可被成候、若シ脇合より出入構無御座候、六ヶ敷申者御座候ハゝ我等何方迄も罷出申分ケ仕、貴殿方江少も御苦労掛ケ申間鋪、為後日質地証文仍て如件
         元宿村
 延享元年甲子   地主 伊右衛門 ㊞
  十二月廿一日  組合 喜右衛門 ㊞
          同  安右衛門 ㊞
   彦四郎殿

資料129 本宿村伊右衛門質地証文

(本宿 岡野家文書)

解説 資料128は現在、市域に残されている質地証文のなかで最も古いものである。
下宮内村の瀬兵衛は享保十四年(一七二九)の年貢上納のために、自分の田一反三畝一三歩を向う三年間五両三分で大乗院へ質入れした。この証文は、その際のもので、質入れに当たって、①質入れの三年間の納税義務は大乗院が果たす、②三年間の年季が明け借用金を返還したら質地を返す、③請返しができない場合は質流れ地として修験大乗院の所有地とし、大乗院が自分で耕作しようと他人に譲ろうと不服は決して言わない、④もしこの件について問題が生じたら保証人である加判の者が責任をとり、あなたには決して迷惑をかけないという内容であり、これを貸主に渡した。保証人には五人組の組頭・組員・名主・親類が連署している。
なお、資料129は、やはり早い時期の資料であるが、保証人の少ないのが目につく。

<< 前のページに戻る