北本市史 資料編 近世
第2章 村の生活
第3節 産業と金融
8 借用金・借地
137 天保十年(一八三九)十二月 本宿村新右衛門借用金証文(本宿 岡野正家文書五二)
借用申金子証文の事
ー金七両也 但文字金也
此引当
一居山杉木 五百本 但弐尺五寸廻りより
壱尺五寸廻りまで
一樫山壱反歩并立木不残
右は当亥の御年貢其外諸払方ニ差支、書面の金子借用申只今慥ニ請取処実正也、返済の儀は来ル子の六月限り壱割五歩の利足を差加へ急度返済可申候、万一都月ニ至り当人金子調達兼候ハゝ、前書引当の居山立木共証人方へ引受銘々割合弁金仕其節少茂遅滞致間敷候、為後日借用証文入置申処仍如件
本宿村
天保十亥年 借用人組頭 新右衛門 ㊞
十二月 証人組合 彦 五 郎 ㊞
証人口入 銀 蔵 ㊞
証人親類 丑 五 郎 ㊞
証人五人組 次 郎 吉 ㊞
下石戸村
証人口入 伝 兵 衛 ㊞
鴻巣宿
新右衛門殿
前書の金七両の儀は実主口之恩金ニ御座候間、万々一此末 御公儀様より御口指触等有之候共、不実意毛頭申
入間敷候、依て奥書ニ請印候
解説 この資料では、金七両の借用金に対し、借用人新右衛門が所有の山林のほかの、杉五〇〇本の立木と樫山一反歩立木共を抵当に入れている。貸付条件をみると、貸付の期間は半年の来年六月迄で、利息は一割五分である。これをみるとお金を融通する現在の金融機関と全くかわりない。また、幕府がたとえ借金棒引の触を出しても関係なく必ず返すことを誓約している。