第4章 寺院と文化

第2節 文化

2　地誌と随筆

214　武蔵志（抄出）
　　（鴻巣市　福島常二氏所蔵）
(序)
寛政頃日コロ　祖父東雄翁迺母能世良礼士武蔵志乎□ヂアツマヲノオキナノモノセラレシムサシシヲ　加波五二伊礼天カハゴニイレテ　宇都伐里乃烏遍爾ウツバリノウヘニ　比米於記多累我ヒメオキタルガ　耶禰也歩例弖ヤネヤブレテ　雨漏之袁士良受芝庭アメモリシヲシラズシテ　宇耻主義柔紫珥ウチスギニシニ虫婆未夜思通楽牟刀ムシバミヤシツラムト　斗宇田庭美仕迩トウデテミシニ　八間浪坐利支ハカラザリキ　九智野夫戻クチヤブレ　万多十安満唎六郡者阿連度茂マタトアマリムコホリハアレトモ　務古保里方致利有勢珥計留伽ムコホリハチリウセニケルカ　故半移可尼制無コハイカニセム　祖父能古古呂呼毛知比之布美乎オチノココロヲモチヒシフミヲ　曽迺磨磨爾味難左武楊斗ソノママニミナサムヤト　嘉永三年八月掖不戻太累越補比ミトセハツキヤブレタルヲヲキナヒ　多良邪流八タラザルハ　其士多雅企乎安都馬ソノシタガキヲアツメ　三巻袁多仕農ミマキヲタシヌ　以伝也我宇我邏也賀良イデヤワカウカラヤカラ　大父乃心呼古居路斗志天オチノココロヲココロトシテ　加吉能故左連仕越都芸弖カキノコサレシヲトキテ　此府美乎満多久宗奈返当良牟茂能以田企南婆コノフミヲマタクソナヘタラムモノイテキナハ　翁能余路許備方伊布反誉宇毛安良孺オキナノヨロコビハイフベヨウモアラズ　我茂以登宇連進有応母甫梅里アレモイトウレシウオモフメリ　安八礼可嘉留人居存祢賀伴士家礼アハレカカルヒトコソネガハシケレ
　　福島半左術門貞正六世
　　　　藤原貞雄
　　　(中略)


鴻巣	民群居野土　耕真土　干田少畠多　駅　北元荒川　同埼玉郡　永川大　熊野大　八幡小　山王　雷電大　勝願寺浄大　法要寺大真深井末　遍照寺新真小馬室末　真蔵院小新真深井末　修験　(加筆)「稲荷」
鴻巣
東間アツマ	民戸野土　耕同　野林　皆畠 浅間大　愛岩放光寺天台行人　勝林寺浄鴻巣末
同
上谷上下也カミヤ	民戸野士　耕真土　干田畠等分　北元荒川　同埼玉郡　橋　氷川大　竜光院新真深井下
同
上谷新田カミヤシンテン	民群居野士　耕同　皆畠　金剛院真御室末小
同
生出塚オイネツカ	民戸野土　耕真土　水田少畠多　天満大　稲荷小二　根生院新真深井末
同
深井フカヰ	民戸野土　耕同　水田少畠多　野林　氷川　天神　第六　寿命院新真冠寺智積院末　東円寺新真寿命下橋本寺上ニ同
同
宮内ミヤウチ	民戸野土　耕同　水田少畠多　野林　氷川大稲荷　常福寺新真深井下　大乗院当山
同
下谷シモヤ	民戸野土　耕真土　干田畠等分　氷川　熊野徳昌寺新真深井下　大行院本山　谷ノ坊上ニ同
同
中曽根ナカソネ	民戸野土　耕同真土　干田畠等分　氷川　天満大　花蔵院新真深井下
同
常光ヂヤウコウ	民戸野土　耕野土真土　干田畠等分　北天荒川　同埼玉郡　氷川　第六天　弁天 西福寺新真深井下文珠院上ニ同
同
別所ベツシヨ	民戸野土耕同　深田畠等分　野林　白山　無量　寿院新真深井末 法乗坊新真馬室下　大同堂
同
花木ハナノキ	民戸野土　耕同　深田畠等分　野林　稲荷　高蔵寺新真深井下
同
古市場ムルイチバ（ママ）	右ニ　（同脱力）田少畠多　稲荷　如意寺新真馬室末常楽寺上ニ同
同
山中ヤマナカ	民戸野土　耕同　皆畠　野林　第六天 不動無寺
同
元宿モトシユク	民戸野土　耕同　畠多田乏　野林原　天正ノ昔今ノ鴻巣此所　天神　多聞寺新真馬室下
同
中丸ナカマル	民戸耕野土　小田少畑多　氷川二　神明　権現安養院新真深井下　遍照寺上ニ同　慈眼寺上ニ同
同
加納カノフ	民戸野土　耕同　深田畠等分　天神　氷川　第六天 光照寺新真深井末　光明寺上ニ同下 医光（ママ）寺　新真馬室末　東光院上ニ同下
同
舎人トネリ	民戸耕右ニ同　深田多畠少　加納新田　熊野灯　明寺新真馬室下
同
篠津シノヅ	民戸野土　耕真土　水田畠等分　葭野　沼 姫宮大　金剛寺新真馬室下
同
坂田サカタ	民戸野土　耕同　水田少畠多　野林　氷川　八幡　医王院新真倉田末　蓮花院天台　本覚院本山修験
同
五丁台コチウダイ	民戸耕真土　水田少畠多　葭野　稲荷　無寺
石戸
滝馬室タキマムロ	民戸額野土　耕真土　水田少畑多　葭野　西荒川渡船同横見郡　氷川大　稲荷二　常勝寺新真本寺　吉祥寺小上ノ末
同
原馬室ハラマムロ	民戸額野土　耕真土野土　 水田少畠多 カヤノ　野林　西荒川同横見郡　愛（ママ）岩大　氷川　野宮 権現稲荷　妙楽寺新真乗（ママ）勝末
同
荒井アラヰ	民戸額野土　耕真土野土　水田少畠多　野林　西荒川渡船横見郡　浅間　天王　石神　稲荷　双徳寺　天台川田谷末　宝蔵寺上ニ同
	(加筆)「北袋　第六　地蔵院新真馬室下」
同
高尾タカヲ	右ニ同　 凹凸ノ地　野林葭野　氷川大　天満弁天　雷　八幡大　白山　稲荷　泉蔵院新真馬室末玉蔵院本山　千龍寺当山
橘庄左近里
石戸イシト	民戸額野土凸凹　耕同　野林　水田少畠多 南荒川船同比企郡　天神大　稲荷大　放光寺天台川田谷末
同
下石戸シモイト	民戸野土　耕同　水田少畑多　野林原　氷川天王大　真福寺天台川田谷末　大蔵寺上ニ同　修福寺上ニ同

　　　(下略)
解説　これは大間村(現鴻巣市)の名主福島東雄の著である。大間村は幕府の儒官大学頭林家の領地であったところから、この地誌編募はその影響とも考えられている。序にあるように寛政年間(一七八九〜一八〇〇)に東雄が著したものを孫の貞雄が嘉永三年(一八五〇)に上梓したものである。
武蔵国全域について述べられているが、所により精粗がある。