北本市史 資料編 近代

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第1章 政治・行政

第1節 近代行政のはじまり

6 自由民権

31 明治十五年(一八八二)四月 鴻巣駅政談演説会
  (埼玉自由民権連動史料)
〇今度埼玉県下の有志者福島耕助・横田三九郎・同新右衛門・肥留川治郎右衛門・出馬又七郎の諸氏が発起にて議政会員矢野文雄・井上寛一の両君を聘し、来る三日午後二時より、同県下鴻巣駅に於て政談演説会を開かるゝ由、同県下ハ自由主義を唱ふる有志者多き処なるが近来ハ別して奮起切りに政党団結に熱心しておると云ふ
  (明治十五年四月一日 郵便報知新聞)
〇又同日藤田茂吉・犬養毅ハ埼玉県下松山駅の有志者鈴木喜恭・片岡勇三郎・新井恭明諸氏の招に応じ比企、横見、両郡の有志者親睦会に臨席するが為め同地に向て出発し、又矢野文雄・尾崎行雄ハ埼玉県下浦和駅の県会議員の親睦会に臨席し、夫れより矢野文雄ハ加藤政之助・井上寛一の諸氏と与に鴻ノ巣駅有志者の求に応じ政談演説を開く為め、尾崎行雄ハ大江敬孝・矢野貞雄の二氏と行田町有志者の招に応して政談演説を開く為め、同日に於て皆々其の志す地方に向ひ出発したるが一同は一昨日帰京せり、議政会設立以後ハ近県各地より同会員を招聘せらるゝ事絶へず議政会員ハ其志を空しくせさる為め力を尽して奔走する由なれとも、孰れの地方よりも大抵同様に皆日曜日を撰んて申込まるゝ故、会員の数不足勝にて之を断らるゝも多しと聞けハ、同会員を聘せんと欲する地方の諸君は日曜土曜の外なる日に於て招聘せられなは同会員も其求めに応じて遺憾なかるへし
前に記せる鴻ノ巣駅の演説会中加藤政之助君の演説ハ警官の為めに中止せられ誠に遺憾なることなりき、左りなから聴衆の重なる人々ハ別席に於て懇親会を開き席上演説杯も之が為めに一層盛んなりしと云ふ、尚ほ委しくハ紀行に載すへし
 (明治十五年四月六日 郵便報知新聞)

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