北本市史 資料編 近代

全般 >> 北本市史 >> 資料編 >> 近代

第2章 産業・経済

第1節 近代初期の農業と水利

3 産業組合の設立と石戸農会の結成

104 明治四十三年(一九一〇)六月 模範産業組合の石戸信用販売組合
  (『国民新聞』明四三・六・一七)
  模範産業組合(一)
   石戸信用購買販売
本県下に於ける産業組合は漸次発展し来り、現今二百有余を数ふるに至れるが、昨十二年四月大日本産業組合中央会に於て全国産業組合総会を開会せる際特に成績優良なるものを表彰されたり、即ち本県にては北足立郡石戸村購買販売組合、南埼玉郡潮止信用組合、北葛飾郡彦成信用組合、児玉郡猪俣第一信用組合なり、今其の表彰されたる組合の成績を聞くに▲石戸村信用組合去る丗六年十一月の設立にして組合員は法令を遵奉するは勿論、定款を服膺して毫も違背の廉無故に事務の整理秩序整然として他の組合の模範と為り、組合員は三百七人・内農業二百六十三人・商業三十二人・工業十二人にして益々増加し、其事業としては貸付金額四十二年末現在にしてー万六千三百七十一円に逹し、設立当時に比し六カ年間にー万六千円以上の増加を来し、又購買販売の事業は四十一年三月より兼営し、購買は肥料を主とし販売は大麦を主とし、前者は五千七百十三円十八銭五厘を後者に在りては四百九十九円十二銭七厘•合計六千百六十二円三十一銭二厘なり、出金は九千六十円にして預け金は二千五十九円二十七銭、準備金及び特別積立金にて二千六百十二円七十九銭三厘に上り、剰余金の額八百八十一円七十銭三厘・貯金ー万一千三百三十四円三十五銭六厘に達し、三十七年一月より貯金規約を設け貯金箱を作りて毎月二口ロ日を期し家並順に箱を廻送し、金一銭以上投入する事となれり、而して組合員相互の関係は頗る親密にして各自苦楽を共にし未だ曽て紛擾を釀したる事なく、組合員の富力増進としては至難の業に属すれども、設立以来自作人と小作人との比較を見るに、自作戸数三百十二戸・反別三百七十二町、小作戸数三百二尸・反別二百七十四町にして設立当時に比すれば著しく増加し居れリ、而して之が経営方法並に設立の趣意は(一)購買部にては事業の堅実ならん事を期し、総て組合員の委托を一括して購入し東京及地方の信用ある商店より絶えず物価表の頒布を受け、時機を見て理事会を開き買入を決定し、組合員には申込期間・価格を通知して一定の期日迄に注文せしむる順序なり、阪売部にありては組合員の生産したる物品に就き組合に委托すべき数量を予め申込ましめ、理事会に於て決定したる適当の時期に於て是れを需用者に吸売し、物品売約成立したる時は組合は組合員に指定場所に搬出せしめ、代金は販売結了後品等並に数量に応じて計算分配する方法なりと

<< 前のページに戻る