北本市史 資料編 近代

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第2章 産業・経済

第2節 近代産業の発展

6 商工業の発展
北本地域は商業的には鴻巣と桶川の営業圈に含まれ、独自の商業的発展はみられなかったが、北本宿駅が開業すると近隣の諸村から特用産物が集積し、資料152にみられるように、昭和十年になると約一五〇名の商工業者によって石戸商工会が発足して、小規模な流通経済の進展がおこってきた。しかしながら特に醸造業は、石戸・丸村ともに米麦の生産地であったことから、油小売や酒・醤油の醸造は明治・大正期に成立しており、唯一の地場産業として発展した。他にこの地域の地場産物として、資料150の簞笥をあげることができる。北足立郡指扇・川田谷・石戸・箕田・馬室等で二〇〇余戸の指物師がおり、年間二〇〇〇円以上の産額をあげていた。この地の地味が桐栽培に適していたことと、仕上を省略することでコストを下げて販売したこと、技術改良を行ったこと(資料149)などが東京での需要拡大につながっていった。
その他工業面では、資料151にある織布工場下村工場が大正五年に創業三〇周年を迎えたのを最古とし、戦時下に入って、中丸村外二か村で工場招致運動がおこり(資料153)、長野県岡谷市の丸興製糸が北本宿駅付近に立地場所を検討してきたが(資料154)、他製糸との競合をさけてきたため実現せずに終り、工場立地による工業化はみることができなかった。

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