北本市史 資料編 近代

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第2章 産業・経済

第2節 近代産業の発展

1 交通運輸機構の整備

116 明治四十一年(一九〇八)十二月 石戸村等への町村土木費をめぐる埼玉県会の波瀾
  (『『国民新聞』明四一・一ニ・一一)
  埼玉県会の波瀾
無事平穏に本年は閉会を告んと吾も人も予期せし埼玉県会も、常に小波瀾の絶え間なく島田知事こそ一回も会場へ顔出しせざれ、三宅事務官以下の参与委員に対しては随分激しき質問も起り、十五日までと開(閉か)期切迫せる現今甚だ不得要領の質問議論答弁のみに日を送り、清水議員が毎日の如く 一読会さへ未済の重大問題あるに議事の進行を妨げ、最終一二日間にて有邪無邪の間に之を決定せんは県民に対しても不親切なりと絶叫するは無理ならず、去れば町村土木補助費の内北足立郡石戸村地内にて十一線へ対し補助を与ふるは不当なりと、或る感情の衝突より態々調査委員を設けたるが如き小競合絶へず、九日(十二日目)の県会には珍しく多くの傍聴人ありしも景気附しが、臨時部土木費の二読会を議すに当って政友会の首領長谷川議員より第二目道路改築費の内、秩父郡白川村の道路を改築二千九百廿七円四十三銭と、之に伴ふ同村八幡橋の新架橋一万八千六百六十五円四十五銭の削除説出づるや俄に質問連続し、当局者たる参与委員に喰ってかゝるもの、又は参事会員が予備審査の際原案に同意しながら議場に削除説を賛成するの豹変を攻撃するもの、又参事会員が賛成せし理由を明説するもの喧々嚣々として騒がしく、中にも孤立の根岸議員は例の如く諧謔を交へて政友会の県参事会諸君併も白川村に関係ある参事会員が此実況を識認し居るに係らず、同派中より削除説出てたるに一言も発せず、且つ他の参事会諸君も一旦は之に同意したるに今日削除説を賛成するも不思議にて、何が何やら狐か狸の如く其意の了解に苦しむ、参与員は此化物の如き問題に化かされぬ様すべしとて埼玉県の富源地は秩父なりと之が開鑿論を説き之を反駁するものあり、近来に於ける小波瀾なりしが、県会の大勢は政友派の掌中にあり、採決の末忽ち長谷川議員の削除説に決定したりと

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