第2章 産業・経済

第2節 近代産業の発展

2　蚕業の改良発展

126　大正十二年（一九二三）五月　中丸養蚕規約
　　(北本宿 淸水勝男家文害四二)
　大正十二年五月十日
　　中丸養蚕規約

第一条	本組合ハ蚕業ノ改良発逹ヲ図ルヲ以テ目的トス
第二条	本組合ハ北足立郡中丸村ニ於ケル養蚕者ヲ以テ組織シ、中丸養蚕組合卜称シ事ム所ヲ中丸村役場内ニ置ク
第三条	本組合又ハ組合員ノ事業左ノ如シ
一	指導桑園ヲ設置スルコト
二	桑苗圃ヲ設置スルコト
三	見本桑園ヲ設置スルコト
四	夏・秋蚕専用桑園ヲ設クルコト
五	犠牲桑園ヲ設置スルコト
六	稚蚕共同桑園ヲ設置スルコト
七	桑樹ノ病虫害ヲ駆除予防スルコト
八	養児飼育ノ方法ヲ改良スルコト
九	優良蚕種ヲ選択シ之ヲ組合員二飼育セシムルコト
一〇	蚕種ノ共同貯蔵共同催青並二稚蚕ヲ共同飼育ヲナスコト
一一	蚕室蚕具ノ消毒ヲ行フコト
一ニ	蚕種肥料蚕具其他物資ノ共同購入ヲナスコト
一三	生産品ノ共同販売ヲナスコト
一四	共同殺蛹乾繭ヲナスコト
一五	養蚕期中天気予報ヲ掲出スルコト
一六	養蚕教師ヲ招聘スルコト
一七	蚕糸業二関スル講習講話ヲ開催スルコト
一八	桑園蚕児飼育其他ノ品評会ヲ開催スルコト
一九	屑繭整理ノ改善普及ヲ図ルコト
二〇	基本財産ヲ積立ツルコト
ニ一	前各号ノ外必要ナル事項
第四条	本組合二左ノ役員ヲ置ク
	組合長宣名副組合長皂名幹事拾名
第五条	役員ハ組合員中ヨリ選挙シ其任期ハ三カ年トス
	但シ補欠ノ為メ選挙セラレタル役員ノ任期八前任者ノ残任期間トス
第六条	役員八名誉職トス、但シ必要二依り総会ノ決議ヲ経テ報酬ヲ支出スルコトヲ得
第七条	組合長ハ組合一切ノ事務ヲ統轄シ組合ヲ代表ス、
	副組合長八組合長ヲ補佐シ、組(合脱力)長事故アルトキハ其
	職務ヲ代理ス幹事ハ組(合脱力)長ノ旨ヲ承ケ事務二従事ス
第八条	本組合ノ経費ハ組合員ノ負担トス
第九条	本組合八毎年一回総会ヲ開キ、事業施行ノ方法
	予算並二経費徴収ノ方法、其他重要ナル事項ヲ議定シ事務ノ成績及決算ヲ報告スルモノトス
第十条	組合長必要卜認ムルトキ、又八組合員五分ノ一以上ヨリ請求アリタルトキハ、臨時総会ヲ開クコトヲ得
第十一条	本規約ハ総会ニ於テ組合員二分ノ一以上ノ同意ヲ得ルニ非ラザレバ之ヲ変更スルコトヲ得ス
第十二条	本組合ハ総会ニ於テ組合員三分ノニ以上ノ同意ヲ得、且ツ郡長ノ承認ヲ受クルニ非ラザレバ解散スルコトヲ得ス、解散后ノ組合ノ財産ハ総会ノ決議ニヨリ之ヲ処分スルモノトス
第十三条	本組合二加入セントスルモノハ組合長一ー申出テ其承認ヲ受クベシ、脱退セントスルモノ亦同シ
第十四条	組合員ノ所為ニシテ組合規約二背キ、又ハ組合事務ニ妨アリト認ムルトキハ、総会ノ決議ニヨリ之ヲ除名スルトアル可シ
第十五条	組合ヨリ除名セラレタルモノ、又ハ自己ノ都合ニ依り脱退セルモノハ、本組合ノ財産二対スル権利ヲ失フモノトス
	但シ総会ニ於テ止ムヲ得サルモノト認メタル事由ニ依り脱退シタル組合員ニハ、本組合財産ノ 一部ヲ分配スルコトアルベシ