北本市史 資料編 近代

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第2章 産業・経済

第2節 近代産業の発展

3 生産基盤の整備

133 大正九年(一九二〇)一月 石戸村を含む県下廿か村に亘る土性調査
  (『国民新聞』大九・一 ・八)
 県下廿カ町村に亘る土性調査大に進む
  肥料配合の基礎を求むべく
   近く実地調査終了して
   土壌の分析試験を開始
地味に適したる作物の栽培を奨励すると又土性に応じたる肥料を施用して其の収穫の増加を図るは、啻に農家の利益を増進するのみならず食料増殖の目的を達する手段として最善なる方法にて、本県農事試験場にては此の間の関係を明かにす可く県下各郡より
◆廿カ町村を選んで昨夏来土性調査を開始し、十一月中旬を以て其の準備調査を終了、直に
 ▲入間郡三芳村▲秩父郡小鹿野町▲同郡原谷村▲同郡樋口村▲南埼玉郡潮止村▲同郡武里村▲北葛飾郡彦成村▲同郡富多村
第八カ町村の実地調査を終り残余
 ▲北足立郡新田村▲同郡石戸村▲入間郡宗岡村▲同郡山田村▲同郡仙波村▲大里郡妻沼町▲同郡太田村▲北埼玉郡長野村▲同郡太田村▲同郡須影村▲南埼玉郡鷲宮村▲北葛飾郡上高野村
の十八カ町村も二月中に其の実地調査を終了して愈で土壌の
▲分折試験を行ふ予定なるが右に関して口川主任技師は語る、目下各町村区域の広狭に応じて一カ町村四十カ所乃至六十カ所の代表的試験地を選び験土杖を以て地層の状態を調査すると共に、土壌を各試験地により一升位宛採集しつ、あるが実地試験終了後此の土壌を分析の結果
◆場所に依りては更に実際に作物の栽培試験を行う外、主要作物につき肥料の三要素即ち窒素・燐酸・加里の効果試験及び肥料の配合試験等を行ひて、夫れ〱土壌に適したる肥料配合の基礎を定むるものにて、肥料の配合は土層の状態即ち透水の如何に至大の関係ある外
◆土壌が肥料に対する吸収力の差異強弱に依って速効肥料を用ふ可きか、遅効肥料を施す可きかを考慮せざるべからざるは勿論にて、又耕作物と土地との関係に於ても例を稲に取れば荒木種は第三紀層の植土にして排水の良好なる土地を好み、開取種は重粘の土壌に於て好成績を挙ぐるを得べし
◆又近頃種は下層に石礫の如き層を有する透水よき土壌に適するが如く、苟くも作物を栽培せんとせば又其の多収を図らんとせば、土壌に適したる作物を栽培すると共に土性に応じたる肥料の配合を為さざれば凡百の努力も遂に徒事に終るべし、本試験場にて行いゝある土性調査は此の間の
◆関係を●明せんとするに外ならずと、尚経費其の他の事情に依りて急速には施行し得ざるも、全県下各町村に亘りて徐々に此の調査も行はん計画なりと

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