北本市史 資料編 近代

全般 >> 北本市史 >> 資料編 >> 近代

第3章 北本の教育

第2節 近代教育の発展

2 青年会等の活動

193 明治四十二年(一九〇九)五月 県内青年夜学会の状況
  (『埼玉県教育会雑誌』二一号明四二・五 明治文庫蔵)
埼玉県青年夜学会状況の概要 青年夜学会及び其団体の事業中、稍々優良と認むべきものは左の団体なりと云う
 北足立郡 石戸村青年会、与野町青年会及同鈴谷青年会
 入間郡  黒須矯風会、扇町屋青年同窓会
 秩父郡  下吉田村青年夜学会、両神村青年花実会、名栗村甲南智徳会
 児玉郡  秋平青年夜学会、大沢青年夜学会、神保原青年夜学会、松久村攻玉会、長幡村青年会
 大里郡  明戸村青年夜学会、小原村小江川青年義団
 北埼玉郡 星宮青年会、東村青年夜学会
 南埼玉郡 潮止村青年夜学会
 北葛飾郡 早稲田村同志会
以上何れも其目的智徳の修養、勤倹の習慣、実業の趣味等の養成を主とし以て青年の風紀を維持し、町村自治の発展に資せんとするにありて、此等の夜学会に於て補習教育を受けたるもの、石戸(北足立)の如き四百六十余名に達せり(三十九年二月以来)、通常五十名乃至百名内外を有するものあり、就中盛なるものを与野(北足立)、下吉田(秩父)、大沢(児玉)、神保原(同上)、明戸(大里)、東(北埼玉)、潮止(南埼玉)の青年夜学会の如きは出席多数にして盛況を示めせり、而して之が発達に関して町村長の奨励によるもの石戸(北足立村長)(ママ)、潮止(南埼玉)の如きは著しきものにて、自働(動)的に発展したるものは、与野町鈴谷青年会(北足立)、名栗村甲南智徳会(秩父)、長幡(児玉)、松久攻玉会(児玉)の如き団体員の協力鞏固なるを認む、小学校長の指導により発展したるものは、星宮青年会(北埼玉)の如き一例なり、之が維持は会員の負担とするものにありては、一ヵ年弐拾銭内外を醵出し、其他は町村の補助又は有志の寄附によるものあり、又労力によりて維持するものは、縄綯、共同耕作及開墾事業、耕作請負等による、両神青年花実会(秩父)、松久攻玉会(児玉)、長幡(同上)等の如し、殊に秩父郡甲南智徳会の如き数町歩の植林をなし、既に立派なる造林をなすものあり、北葛飾郡早稲田村同志会の如きは、基本金五百円を蓄積したるものあり、此他貯蓄の奨励に於て成績の見るべきものは、北埼玉星宮の壱銭貯金の如き壱千数百円に達し、秩父郡両神村の花実会の如き七百弐円、入間郡扇町屋青年同窓会の第一回国庫債券百円、大里郡小江川青年義団の同じく国庫債券五十円を有するが如き是れなり、且つ公共事業の助力即ち道路の修繕、橋梁の架設、校庭外囲等の修繕に労力寄附(を脱)なす等例も少なからず(北足立鈴谷青年会)、(児玉郡松久攻玉会)、尚ほ農事に関しては、農作物品評会、病害虫駆除、短冊苗代、撰種、肥料の改良の実際に手を下せるもの農事試験場、実業学校の参観をなし以て智識の拡充と精神の(向脱)上に勉む、(北埼玉星宮)、(入間郡黒須嬌風会)、(秩父郡両神村花実会)、(児玉郡松久攻玉会)、(同長幡青年会)の如きは顕著なるものとす、一般に於ては修身、読書、算術、作文等の補習と農業、衛生等の講話によりて各自の修養に努む、其期間長きものは六ヵ月、少きも三十日を下らざるなり、之が為め従来の弊風たる青年の夜遊又は飲食店に青年の集会を減じ、勤勉の風と共に租税公課の滞納者を出さざるに至る、児玉郡秋平村、入間郡豊岡町の如き其一例なり、低き効果としては年齢三十歳以上のものゝ勉学、無教育者にして相当文字の習得をなしたる等、教育上の影響も少なからざるを認めらる、而して此等団体の講師となり、熱誠指導を怠らざるものは小学校教員とす、其労少なからざる也、稀に篤志者の手を深(ママ)むるものあるも類例甚だ少し、埼玉県の如き今や各種事業に手を下せるもの多きも、其成績の顕著なるものなきを遺憾とするも、以上列挙したるものは稍々特色を有するものにして、設立目的の一部に添ふものと認めらるゝは喜ぶべき現象となすべきか

<< 前のページに戻る