北本市史 資料編 近代

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第4章 社会生活と文化

第1節 社会生活

1 消防・兵事・警察・郵便等

245 年月 不詳 軍事郵便
  (下石戸下 諏訪勝二郎家文書)
埼玉県北足立郡石戸村大字下石戸上 諏訪芳太郎様
 満州黒河省孫呉県孫呉第四四八部隊島田隊、宮永暠
暑中御伺い申上ます。その後は大分暫らく御無沙汰致しましたが皆々様にはお変りは御座居ませんかお伺い致します、御蔭様にて小生も至極元気で働いて居りますから他事乍ら御休心下さい、内地も暑気が加はりて凌ぎ難くなって来たとの由、皆々様が充分御身体に注意なされん事と北満の地よりお祈り致して居ります、乱筆にて、皆々様に宜敷、草々
大日本埼玉県北足立郡石戸村石戸宿軍人分会長 井野雅次殿
 奉天満州第三八九三部隊鈴木隊 諏訪弥太郎少尉
秋風清き昨今、御高堂には益々御健祥の事と拝察申上げます、小生御蔭様にて其後至極元気で粉骨砕身奉公の念に燃えて居ります、御忙しくなる折柄皆々様の御繁栄を祈ります。
埼玉県北足立郡石戸村大字下石戸上 諏訪芳太郎様
 満州黒河省孫呉県孫呉第四四八部隊島田隊 宮永暠
謹啓、春暖の候貴家御一統様には益々御壮健の由奉賀候、陳者は今般御令息(弥太郎氏)には名誉の戦死を遂げさせられしとの由、国家の為とは言ひ御-統様の御悲歎は如何ばかりに御座候や御心中お推察申上候、全く突然の事故自分等もこの報を聞くや驚狂の沙汰に御座候、死はもとより覚悟の身なれども再び君の雄姿に相見ゆる事欣ずる与はずは実に哀悼に不堪候、先は乱筆にて弔文差上げ候、草々
埼玉県北足立郡石戸村下石戸 諏訪弘光様
 満州国浜江省哈爾浜満州第一七七部隊原田隊 新井城一
謹啓、御令弟諏訪弥太郎中尉殿には十二月二十三日名誉の戦死致され候由、此度妹重子よりの便りで承り候、御ー同様の御愁傷如何ばかりかと推察申し上げ候、男子ー度帝国に生を得ては戦場に散華するをもとより本懐とな す処には候へ共、壮途に着かれるに際しては環境の然らしむる処とはいへ御宅にも立寄る暇さへなかりしとの由、御令弟の胸中を御察し申し上げるとき思い半ばに過ぎるもの有之候、生死測るべからざるは戦場の常にして暗雲飽和の北辺警備にある小兵も明日の命は知るべからず候、南方の陸に燦として輝く日章旗、海に翩翻として飜る海軍旗、あの大戦果を手向草として弥太郎中尉殿の冥福を祈り上げ候、失礼ながら書中を以て御悔みまで、

敬具
新井城一


  諏訪弘光様

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