第4章 社会生活と文化

第1節 社会生活

5　衛生

291　昭和九年（一九三四）六月　隔離病舎廃止の件
　　（旧石戸村文書）
議案第二〇号
　　　　隔離病舎廃止ノ件
本村隔離病舎ハ昭和九年度二於テ之ヲ廃止スルモノトス
　　昭和九年六月三十日提出
　　　　　　　　　　石戸村長　矢部次郎
　　　理由
本村ノ隔離病舎ハ附属建物ヲ合シ左記四棟アルモ明治三十六年八月十五日ノ建築ニシテ既ニ三十有余年ヲ経過シ近年ノ頃ニ腐朽シ殆ンド現在、ノ尽（侭）ニテハ使用ニ堪へザル状態ナリ、殊ニ昭和三年頃迄八屢々村内ニ伝染病患者発生シ使用シタルモ其後発生ヲ見ズ、従ツテ使用セシ事ナシ、然ルニ蛻近衛生思想ノ向上卜文化ノ発展八諸処ニ完備セル伝染病院建設サレ隣村馬室村ニハ河野病院アリ、尚川越市ニハ幾多ノ病院アリ、万一患者発生セシモ本村ニテ開舎治療スルヨリ此等病院ニ依託スル方軽費ニシテ而モ安全ナリ、而シテ右隔離病舎ハ本村ノ南北ヨリ見ルトキハ中央ヨリ南部ニアルモ東西ヨリ見ルトキハ□□□中央ニアリ、附近ニハ本村産業発展上最モ重要ナル有限責任石戸トマトクリーム販売組合ノ工場アリテ年中食糧品ノ製造又ハ運搬ヲナシ居ルヲ以テ、附近ニ斯ノ如キ建物アルハ衛生的見地ヨリ、将又産業発展上ヨリシテモ不適当ナルニヨリ此際廃止シ、恰モ役場附属建物建築ノ必要ニ迫りタルヲ以テ右建物ヲ取壊シ再建シ、内一棟(事務室)ハ本村艘友会ノ事務室トシテ無償ニテ譲与スルニ由ル
　　　　　　記
一、木造瓦葺平家建 病舎电棟　病舎　壱棟
　　　此建坪五拾四坪弐合弐勺
　　附属建物
一、木造瓦葺平家建　　　　事務室　壱棟
　　　此建坪拾五坪
一、木造瓦葺平家建　　　　小使室　壱棟
　　　此建坪七坪五合
一、木造瓦葺平家建　　　　屍　室　壱棟
　　　此建坪　参坪
　　　　　　　　　　　　　　以上
議案第ニ一号
　　　　不動産処分ニ関スル件
本村有左記不動産ヲ役場附属建物ニ再建シ内着棟ハ本村
農友会ニ無償ニテ讓与スルモノトス
　　昭和九年六月三十日提出
　　　　　　　　　　石戸村長　矢部次郎
　　　　記

所在地				建　坪	摘　要
町　村	大　字	字	地　番
石戸村	下石戸上	中町	一、二八九番ノ三	坪 五四・一二	隔離病舎
			一、二九〇番ノ一
			一、二九〇番ノ二
同	同	同	一、二八七番ノ二	一五・〇〇	事務室
			一、二八九番ノ三
同	同	同	一、二九〇番ノ一	三・〇〇	屍室

　　　　　理由
右建物ハ今回廃止スベキ隔離病舎ニシテ建築後三十有余年ヲ経過シ居り、加フルニ数年来使用セザル為腐朽甚ダシク現在ノ尽（侭）ニテハ大修繕ヲ加へザレバ到虑使用シ能ハザル状態ニテ、他二売却セントシテモ殆ンド無償ニ近キ安価ニ否（非カ）ザレバ希望者ナキ為、廃止ノ手続完了シタルトキハ病舎並ニ小使室、屍室等ハ之ヲ取壊シ、役場附属建物トシテ再建シ、事務室ハ本村産業発展上多大ノ功労アル艘友会ニ事務室用トシテ無償ニテ譲与スルニ由ル