北本市史 資料編 現代

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第1章 政治・行政

第3節 北本市の発足

47 昭和四十六(一九七一)年八月 町民の皆さまへ
  (『下石戸下 長谷川幸男家所蔵』)
   町民の皆さまへ
ここ北本町が、町勢の充実に伴い市制が施行され、ますます大きく発展していきますことは、まことにご同慶にたえません。
私たちは、新しく誕生する市の前途を祝し、より一層の健全な発展を祈って、市の名前を「げだつ市」と命名されますよう町民の皆さまに、ご理解とご賛同を求めるものであります。
  解脱会会祖と郷愛の教え
明治十四年十一月二十八日、北本町大字北本宿の岡野家に呱々の声をあげられた解脱会会祖、岡野聖憲(大僧正)は、この地の美しい自然の中に天性の宗教心をはぐくみ、神のご啓示をいただき、昭和四年八月、解脱会を創設しました。(中略)
  解脱の教えは超宗派に立脚した国際的宗教である(中略)
この教えを奉ずる内外の人たちは、偉大な救世主が生誕されたこの地を御霊地と尊び(中略)やがて、この地を敬慕する何十何百万の人々が、日本はおろか、世界の各地から参集し、この郷土が広く世界に知られ、商店街はもちろん、この町が大きく発展するであろうことは期して待つべきものがあります。
  豊かな都市に
さて、北本町は(中略)新しく誕生する市の特色を考えますれば、あくまでも緑ゆたかな田園都市であり、情操ゆたかな文教都市ということでありましょう。
この理想郷にふさわしい名前としまして、私たちは、ここに「げだつ市」の命名を推奨するものであります。
  ”げだつ”は人類共通の願い
   ――教団のものではありません――
解脱(げだつ)とは、ご承知の通り、人間の最高理想をあらわす言葉でありまして、(中略)けっして一教団の名称でも占有物でもなく、人類共有財産的な言葉です。
「げだつ市」という名称は、この町が理想郷として、この地に住む人々の上に平和と幸福の光が輝くという希望を託すもので、住む人の誇り、聞く人のせん望の名として、全国に類のないすばらしい市名となります。
  町づくりは郷愛の心で
この郷土をこよなく愛した会祖は、当地発展のため、北本駅の開設をはじめ、別紙のような数々の協力を惜しみませんでした。私たちもまた、会祖の心を体し、(中略)別紙のような計画をさせていただくものであります。
一部の人達は、これを曲解して、だまされるなとか、町を売るとかいう噂を流していますが、私たちの協力計画は、けして名を買いとるとかいうものではありません。
 (中略)
小中学の名前は変りません
また、「げだつ市」となりましても、小中学校の名称が変るわけではありません。北本町にあって、南小学校中丸小学校、石戸小学校………とあるように、げだつ市の中に北本中学校があることは当然です。
  信教の自由の侵害はありません
「げだつ市」となることは信教の自由の侵害ではありません。もちろん、各人の信仰は自由であります。伊勢市、橿原市、天理市、金光町、成田市等々、宗教に関係する市名は全国に数多くあり、新憲法下で成立したものが多くあります。
さらに、「げだつ市」は、天理、金光のような、教団の名称というものではなく、「げだつ」という普遍的な名称であり、最高理想の言葉であるために、推奨されるものであります。
  政教分離の基本姿勢を貫く
解脱会としては、会祖が町へ奉仕はしましたが町政にはいっさい口を出さなかったように、町政に干渉することは、いままでなかったし、今後も絶対にありません。
 (中略)
同封のしおりをお読みいただき、ご理解いただけますよう、お願い申しあげます。
          解脱会

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