北本市史 資料編 現代

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第2章 北本の農業

第2節 統制経済と供出制度

敗戦によって朝鮮半島、台湾からの米移入の途を断たれたことや、外地からの引揚者と国内の失業者の大量発生などによって、我国は緊急食糧難時代の到来をむかえることになる。食糧事情の悪化に対して、政府は帰農政策や増産政策の推進と同時に、食糧管理制度を強化し、いわゆる前期食管制を展開する。
この時期の食糧管理は、米・麦をはじめ、いも類から雜穀にまで及び、徹底した割当供出制と生産者価格の抑制を主眼とするものであった。消費者保護の性格の強い価格・流通統制、資料61に基づく低米価強権供出は、生産農家の飯米自給さえままならない苛酷さであった。こうした状況のなかで、資料60にみられる旧中丸村別所農家の姿勢は、アメとムチの供出制度を推進する政府にとっては、またとない快挙であり、新聞にとっては、美談としてのニュースバリューをもつものであった。
アメリカからの小麦の輸入増加によって、食糧危機は解消に向かい、麦は間接統制となり、米だけが統制の対象となって残る。この間、供出割当は年々緩和され、超過供出奨励金や早期供出奨励金が支給されるようになる。資料62及び資料63は、このころの事情をよく物語っている。
こうして食糧管理制度は、消費者保護的性格の濃厚だった前期食管制から、上記の過渡期食管制を経て、高値安定・全量買上制による生産者保護的色彩の強い後期食管制へと、移行していくことになる。

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