北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第1章 生活の場と民俗概観

第4節 民族とは何か ―民族知識を例として―

年中行事に関するもの
正月に門松を立てない所がある。
元旦には、掃除をしてはいけない。
正月十五日の小豆粥を吹いて食べてはいけない。田に風がふく。
正月と盆の十六日は針を使わない。使うと指に腫物ができる。
初雷の時には、節分の豆を食べるとよい。
節分の鰯で目をなでると目がよくなる。
初午の日には、風呂をたててはいけない。
花祭の甘茶を目につけるとよい。
七月一日、庭先で小麦の殻を燃やして尻をあぶると疫病にかからない。
川で溺れたとき、七夕のマコモの馬を燃やして当たらせるとよい。
七夕の日、ササゲ畑に入ってはいけない。
盆には生き物を殺してはならない。
二月と十一月の日に、下駄を出しておいてはいけない。
冬至には屋根に水を掛けるとよい。
大晦日に早く寝ると、白髪がふえる。
年中行事の日というのは、大半が神を迎え祭る機会であった。これらの日には、仕事を休み静かに祭りに専念すべきものだった。元旦の掃除、初午の風呂、大晦日の早寝などは、これに反するのである。
この日は、特別の食べ物をこしらえて神に供え、人々もいただく。その効果はのちのちに及ぶが、それだけにきちんと作法を守らなければならなかった。
信仰の衰えと共に神が妖怪化し、忌み慎む気持ちが、恐怖にすりかわったものもある。

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