北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第1章 生活の場と民俗概観

第4節 民族とは何か ―民族知識を例として―

本編は北本市史民俗編である。歴史とか美術という言葉と違って、民俗という言葉にはなじみのない人が多いのではなかろうか。
文化財保護法では民俗について「衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習及びこれに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件でわが国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの」と定義している。要約すれば、人々の生活に関する風俗慣習とそれに使った道具ということになる。そして、収集、調査、研究の目的は国民の生活の推移の理解のためということになろう。
北本市史民俗編に即していえば、過去から現在にいたる北本市民の生活に関する、あらゆる風俗慣習や生活のための道具などを調査記述して、北本に住んだ人々の生活の移り変わりを知るということになろう。本編はそういう目的で北本市域の民俗を分かりやすく分野別に分けて次章以下に記述した。
風俗慣習といっても、時代により場所により様々のものが生まれ、そして変化変容しつつ現在に至っている。生まれた時には、それぞれ意味があったはずであるが、時代の推移とともに変化し、現在では意味の分からなくなってしまったものも多い。
文化庁の民俗の分類に「民俗知識」と呼ぱれる分野があり、1しつけ・作法・鍛練・伝授、2医療・衛生・保健、3卜占・まじない、4天文・気象、5数理、6動・植・鉱物等の種類、名称、性質、利用等となっている。市町村史の場合は、この項目立てをしているものは少ないようである。内容的に他の分野に吸収される部分が多いので、あえて章立てしないのであろう。本編でもその観点から独立した章としては設けなかった。ただ、いわゆる生活の知恵ともいうべきもので、諺などの形式で表現されることが多く親しみやすい内容のものなので、一部を次章以下を読み進めていただくための導入として紹介したい。

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