北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第1章 生活の場と民俗概観

第4節 民族とは何か ―民族知識を例として―

天気に関する予兆
秋の夕焼け鎌を研げ。
秋の朝照り隣へ行くな。
夕日焼けは晴れ、朝日焼けは雨。
朝雨は女の腕まくり。
月笠・日笠は雨近い。
門松に雪がかかると、その年は雪が多い。
五月燈籠が雨になると、祭りは全部雨。
蟻の観音参り(行列)は、天気が変わる。
蜂が高い所に巣を作る年は、洪水がでる。
蜂が風下に巣を作る年は、嵐が来る。
蛇が出ると、大雨になる。
雪の多い年は米の豊作。
雪の少ない年は、虫が多い。
寒雪の多い年は麦が豊作。
雷の多い年は豊作。
赤飯の汁かけ飯は、御祝儀に雨が降る。
ここでは、天気に関する予兆を掲げた。経験的に知っているものは、全国共通のものも多い。科学的根拠のあるものは、自然編で取り上げるので省いた。
正月は年の初め、五月燈籠は夏祭りの初めなので、それでその年の天候を占なっているのである。
ある種の動物は未来を予知する能力を持つと信じ、その行動に注意を払った。蛇は家の主、氏神様の使いっ子、あるいは水神様の使わしめと考えられ、雨乞いにも使われる。
雪の伝承は北本での経験に基づくものなのか、雪国の伝承が伝わったものか興味深い。
最後のものは汁かけ飯から雨を連想したもので、これは予兆ではなくしっけに属するものである

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