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第10章 民俗芸能・遊戯

第1節 民族芸能

1 石戸宿の獅子舞

メジシ(女獅子)
顎幅一八.〇㌢、頭髙一九.〇㌢、鼻頂一五.五㌢、全長三二.五㌢(籠部分を含むと三七.〇㌢)
頭の材質は、桐。寄せ木造りの箱型を呈している。彩色は漆漆赤色。頭髪は、不明。耳は紐で留めてあり、垂れている。右側のみで左耳は欠。頭に一つ丸い穴が空いている。竹籠あり。眉は中獅子同様に渦巻き状に彫刻されている。目尻はつりあがている。歯は平らである。左右下の奥に穴が空いておりおそらく牙を差し込んだと思われる。上唇はへの字形に開いている。
これらの特色からこのナライジシの獅子頭の形態の時期は山本修康「埼玉における獅子頭の形態分類についての一試論」(埼玉県立博物館紀要十二昭和六十一年三月)の基準作例からみると、ナライジシは、第二期の江戸時代中期(十八世紀)以降の作と思われる。頭の形態は、箱型であるが、角を差し込む穴が頭自体に空いており、頭に被る竹籠が獅子の中にあり、その分頭高は高くなっている。また、上唇の形がへの字に開いている点や眉の渦巻き状の彫刻などからも江戸初期の形態とは開きがあると思われる。
頭の形式は、鼻先も短く垂れ耳であり、龍頭というよりは、形態からみると獅子形式といえよう。
以上がナライジシの頭に見られる特色であるが、現在、祭で使用されている獅子頭の形態もナライジシの特色を継承している。頭の大きな変化が見られるのは、箱型から曲線的な丸みを帯びた頭になった点である。

写真6 メジシ

写真7 現在使用されている獅子頭

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