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第10章 民俗芸能・遊戯

第1節 民族芸能

1 石戸宿の獅子舞

祭の過程
獅子舞は二月十五日と十月十五日の祭礼に行う。

写真1 獅子舞の行列(石戸宿)

二月十五日の天神社の祭礼は周辺の村々から参詣にきて非常に賑わったという。川越の芝居の一座を頼んだり、桶川の神楽師を頼んで、芝居や神楽もした。川越の芝居を頼むときなどは、囃子連中のチンピラアンチャン(囃子連中に入りたての若い衆)が祭前日の二十四日に川越まで自転車にリヤカーをつけて衣裳を取りにいったりした。二十五日には周辺の村々の子供達が紙に「天満天神宮」と書いて、神社に奉納に来た。神社ではお返しに御札を出した。それに、露店商も多く出ていたし、花火は上がるし、福引もしていた。福引のくじよりなどは区長が陣頭指揮をした。
獅子舞の役割分担は、特定の役割の他は、籤(くじ)を引いて役を決め、それを紙に書いて、寺の本堂の軒下に張った。獅子舞用具は寺に保管してあり、そこで支度を整える。皆御神酒でお清めをしてから、行列をなして出発する。
行列の順は、区長が常行事という提灯を持ち先頭にたち、次いで年行事が二人、金棒二人、貝二人、山車二人、花籠二人、花笠四人、そして花笠一人に警護が一人ずつ付く。それから、サイリョウ一人、高張二人、獅子三頭(女獅子、中獅子、法眼の順)、高張二人、年行事二人である。
行列をなして鳥居をくぐり、天神社の社殿の前に到着し卿子舞を始める。ここで終わると、また行列をなして村内の各神社を回り、そこで獅子舞をする。弁天社、八幡神社、稲荷社、庚申社という順である。行列をなして進むときは、最後尾に囃子連を乗せた屋台がつく。

写真2 天神社での獅子舞

写真3 庚申社での獅子舞

それぞれの神社では舞う人が異なり、衣装を着替えるのは民家であり、舞う人の着替えた着物を持って歩く役を衣裳回しといい、これは年行事が務めた。
次いで、十月十五日の祭礼についてみる。
今年の祭をどうするかということを、年行事が中心になり、常会を開く。常会を開くのは秋の彼岸の中日であることが多く、付け祭の内容を検討する。不景気の年とか台風がきて被害のあった年などは獅子舞をしなかった。獅子舞をすることになれば、練習の日程を決めたりする。
十月十四日の祭礼の前日はオヒマチといい、各家では餅をついて祝い、年行事や区長はこの日朝から寺に集まり獅子舞の用具を作る、これを花こしらえという。そして、この晩用具が揃っているかどうか確かめるため、獅子舞をする。これをキッツォロイといった。十五日の獅子舞は二月の場合と同じである。

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