一、ハァー　あれは　イサハルモｴ
　　この家(や)館は　めでたい館しｴ
　　奥じゃ三味ひく　茶の間じゃ語るしｴ
　　お台所じやー　餅をねると
　　サァー　イキ綱　ハァーイ　イーイ
　　イー　インヤナイ　コラ　イーイ
一、ハァー　あれは　イサハルモｴ
　　地獄の釜蓋　開けてぞ　みればーｴ
　　釈迦が　色する 閻魔さんは　くじる
　　そばで　お地蔵さんが　ムダマラをたてる
　　サァー　イキ綱　ハァーイ　イーイ
　　イー　インヤナイ　コラ　イーイ
　　ハァー　あれはサーノ　イー
一、ハァー　あれは　イサハルモｴ
　　おもしろいのは　木曽路の旅よーｴ
　　笠に木（こ）の葉が　ちらほらと
　　サァー　イキ綱　ハァーイ　イーイ
　　イー　インヤナイ　コラ　イーイ　
　　ハァー　あれはサーノ　イー
一、ハァー　あれは　イサハルモｴ
　　火事は　どこだと　豆腐屋さんに 聞けばーｴ
　　火事は　豆腐で　アブラアゲ　ないと
　　サァー　イキ綱　ハァーイ　イーイ
　　イー　インヤナイ　コラ　イーイ
　　ハァー　あれはサーノ　イー
一、ハァー　あれは　イサハルモｴ
　　そよと　あがりし　あのとんび風ーｴ
　　人が笑おが　ののしろが
　　人の意見じゃ　切れやせぬーｴ
　　サァー　イキ綱　ハァーイ　イーイ
　　イー　インヤナイ　コラ　イーイ
　　ハァー　あれはサーノ　イー
一、ハァー　あれは　イサハルモｴ
　　わしが　音頭とる　のじゃないがーｴ
　　ちょいと　かしらの　息休めじゃーとーｴ
　　サァー　イキ綱　ハァーイ　イーイ
　　イー　インヤナイ　コラ　イー
　　ハァー　あれはサーノ　イー
(荒井　新井政信　明治三十四年生)