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第11章 伝説・世間話・昔話・諺

第1節 伝説

25 埋められてしまった石の仁王
      常光別所
むかし、石で つくられた大きな仁王さまがありました。
ある日、その仁王様を川越まで運ぶことになり、牛車に乗せ出発しました。運ぶ途中、別所村(現、市内朝日)にある無量寿院の前まで来ると、なぜか牛車は止まってしまいました。無量寿院の近くのお百姓さんや、牛車のつきそいの人たちも「きっと仁王様が、ここを動きたくないのだろう」と考えて、その近くに仁王様を立てておきました。
そのころのお百姓さんたちは物を運ぶために、馬や牛を飼っていました。お百姓さんは毎日野良仕事の帰りに馬や牛をひきつれて、立っている仁王様の前を通りました。
仁王様を立てておいてからーカ月後、お百姓さんたちが飼っていた馬や牛たちが続けさまにいなくなりました。御百姓さんたちにとって大事な役割を果たしていた馬や牛がいなくなってしまいましたのでみんなあわててしまいました。そこでお百姓さんたちは、きっと仁王様が馬や牛を食べたのではないかと考え穴を掘り、仁王様を埋めてしまいました。それからは馬や牛たちは無事に飼われたということです。
その後、仁王様を見た人は誰もいませんでしたがこの土地の人々は、今でも石の仁王様は、土の中に埋められていると信じているそうです。
  ▽西小「伝説、むかし話をさぐる」

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