北本市史 民俗編 民俗編一覧
第11章 伝説・世間話・昔話・諺
第1節 伝説
30 送リオオカミ高尾
幸之助おじいさんが、ある年、秩父の宝登山神社の講の代参で徒(かち。歩きのこと)で宝登山様へお参りに行ったときのことだそうだ。お礼をいただいて帰ろうとすると、神社の神主さんが「これからでは遅くなりますから、お供をつけましよう。」といってくれたそうだ。ありがとうございますといって帰ってきたそうだ。
途中で暗くなってしまったそうだ。オオカミが遠くなったり近づいたりして歩いているのが見えて、背筋がゾーッとする恐ろしさだったそうだ。松山、吉見をすぎ、荒川を渡ったところで幸之助おじいさんがオオカミに「家も近くなりました、ありがとうございました。とお礼を言うとオオカミは見えなくなってしまったとさ。
▽田島和治「おじいさんのむかしばなし」鴻巣市小松