北本市史 民俗編 民俗編一覧
第11章 伝説・世間話・昔話・諺
第2節 世間話
9 力持ちひいじいさんは、うちにもこ(婿)にきた人なんだが、昔は、婿というととかくなんだかんだと低く扱われたんだ。
だけど最初がかんじんで、村の人をあっといわせちゃえばいいんだってわけなんだ。そんでもって、ある日、力自慢が米俵の担ぎっこを始めんだってが、昔の人は一俵は誰でも担いちゃうんだいね。そしたとこんが、うちのひいじいさんは、将棋の盤にのっかって担ぎあげちゃったってんで、周りの者はびっくりして、それからは一目おくようになったってゆうんだいな。なにしろ、せまい将棋盤の上にのるには、足を揃えてのらなければならない。だから、腰を落としてふんばるわけにはいかない。ほかの者は誰一人できなっかったってんだけどな。
▽話者:新井恒治さん(高尾大正十五年生)