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第11章 伝説・世間話・昔話・諺

第3節 昔話

5 桃太郎
昔々、大昔のその昔。
あるところにおじいさんとおぱあさんがいまして、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。すると川上の方から大きな桃が、どんぶりっこ、どんぶりっこと、流れてきました。おばあさんは喜んで「いい水はこっちへこい。わアるい水はそっちへ行け。」と言って水をかいたところが、おばあさんの手もとへ大きな桃が流れてきましたので、おばあさんは喜んで、それを拾い上げ、そしてまあ良かったと思って家へ持ち帰って、おじいさんの山から帰るのを待っていました。すると、そこへおじいさんが帰ってきましたので、「おじいさん、こういう桃を拾ってきたよ。」と。「まあ二人で食べようじゃないか。」ってんで包丁を持ってきてざっくり割ったところが、桃の中から大きな太った男の子が生まれでました。それで「桃の中から生まれたんだから桃太郎とつけたんがいいじゃないか。」てんで桃太郎とゆう名前を付けましてね。
だんだん成人して大きくなりましてね。その当時は、鬼ヶ島では鬼がだいぶ暴れている話を聞いたんで、それで、桃太郎が鬼退治に行くことになったんだそうです。出かけることになったところが、おじいさんとおばあさんが「それじゃ、何かお弁当をもたしてあげよう。それにはきみ団子がいいだろう。」てんで日本一のきみ団子を作ってもたしてやった。
ところが、途中まで行ったところが、まず第一番に犬がやってきて、「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰に付けたのはなんですか。」「ああ、これか。これはな、日本一のきみ団子。」と。「一つ下さい。おともしましょう。」ってんで犬がお供。そしてまた少し行くと、こんどは猿がやってきて「桃太郎さん、桃太郎さん。お腰に付けたのは何んですか。」「ああ、これか。これはな、日本一のきみ団子。」「ああ、そうですか。一つ下さい、お供しますから。」そうすると、また、今度は雉(きじ)がきて、「桃太郎さん、桃太郎さん。お腰につけたの何んですか。」「ああ、これは日本一のきみ団子だ。」「一つ下さい、お供しますから。」てんでまあ、犬と猿さんと雉さんとがきみ団子のお弁当をもらってね、桃太郎さんと一緒に、勇んで鬼退治に行ってね、鬼を攻め伏せて、鬼ヶ島の宝物をぶん取って、そうして家へめでたく帰ってきた、という話でございます。
これでいちごさかえた。
  ▽話者・・・新井宇一郎さん(荒井明治三十六年生)

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