北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第2章 社会生活と親族

第5節 家と家族

5 絶家の再興

家の継承で、血縁によらないもののひとつに絶家の再興がある。絶家状態にある家のことをツブレヤシキなどとよんだりするが、再興にはいくつかのきまりがあって実施される。
ひとつは絶家の姓を継承することであり、もうひとつは絶家が所属していたイッケの承認を受けるというのが原則となっている。また、そのまま絶家の累代の位牌の管理も継承することもある。
絶家の再興の資金は、買い受ける側の本家が分家を出すのと同じように捻出する。したがって再興後その家は所属するイッケが変更となる。すなわち、姓こそ違え再興した家は、買い受けた側のイッケに所属するのである。ただその場合でも、一代までは絶家した家の本家に対し、盆正月には贈答の交換が行われたりする。
絶家の再興はこのように全く別系統からのものもあるが、イッケ内で行われることもある。この場合、(総)本家の指導のもとに、家の再興が図られる。時には、没落した本家再興ということもある。こうした際、屋号もそのまま使用されるため、本家の再興と誤解しやすいが、再興した家が、そのまま元の本家格ということにはなりえない。というのも、没落した時点で、既に分家の中の有力な家が本家格を継承しているからである。家の再興はあっても、本分家関係は、再興の資金を出した家を本家とし、以後この関係が継続することとなるのである。

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